新湊エリアに分散型ホテル初誕生 4月から「アルベルゴ・ディフーゾ」空き家改修で宿泊、飲食店に
●天然の魚介類と港町の情緒 まるごと味わって 新たな旅のトレンドとして近年人気が高まる分散型ホテル「アルベルゴ・ディフーゾ(AD)」が4月、シロエビやベニズワイガニなどの天然の魚介類と港町の情緒が魅力の射水市新湊エリアに誕生する。ADは日本海側で初めて。地域振興に取り組む団体「拓(ひら)く会」が空き家を宿泊施設などに改修し、新たな観光スポットとして売り出しを始める。 開業するのは、いずれも空き家を改修し、四つの客室を備える宿泊施設と、新湊漁港直送の新鮮な魚介類が味わえるすし店。拓く会は2023年、ADの認定団体「アルベルゴ・ディフーゾ・インターナショナル(ADI)」(本部・イタリア)から「スタートアップ認証」を受け、富大や金大の学生や教員らと準備を進めてきた。 宿泊施設とすし店の開業後も、別の空き家を活用して宿泊施設や飲食店を増やす。同時に、既存の飲食店などに協力を依頼し、辺り一帯にADの装いを整えていく方針だ。 SNSによる国内外への発信やインフルエンサーとの連携に加え、首都圏でのPR活動などを通じて周知を図る。生きのいい魚介類が水揚げされる新湊漁港の見学や、風情が漂う内川沿いの散策、高岡駅発着の路面電車「万葉線」への乗車、自転車による小旅行など体験型のメニューも充実させたいとしている。 ADの開設は、新湊エリアの空き家問題の解決にも貢献するとみられる。拓く会の石丸義男代表(63)は「新湊の強みを生かした、世界に一つしかない『ホテル』を作り上げたい」と意気込む。 ★アルベルゴ・ディフーゾ まち全体を一つの宿のように見立てて、客室や飲食店をエリア内に点在させたホテル。イタリア語でアルベルゴは「宿泊施設」、ディフーゾは「分散」の意味を持つ。まるでそこに暮らしているような感じで、地元の人々との自然な交流が生まれ、その土地ならではの奥深い魅力を味わえると評判を呼び、世界各地のほか、宮城県蔵王エリアや山梨県身延エリアなど国内で数を増やしている。滞在日数が長いケースが多く、周辺地域の経済効果も見込める。拡張版として、地域一帯で宿泊経営を行う「オスピタリタ・ディフーザ」がある。