春高バレー舞台裏 涙をのんだ選手たちの心に残ったもの 男子・一関修紅と女子・盛岡誠桜が全国大会へ【岩手発】
花巻南高校 仲間との「絆」
女子の花巻南高校は、部員は25人と県内屈指の大所帯だが3年生は1人だけ、“さやさん”の愛称で後輩たちに慕われているキャプテンの藤舘咲耶選手だ。 体育館には、手作りの「さやさんを全国に連れていく!」という横断幕が掲げられていて、後輩たちが藤舘選手に内緒で作ったものだった。藤舘選手は「後輩と一緒に全国行くという気持ちがさらに強くなった」と話す。 準決勝で一関修紅高校に敗れベスト4に終わったが、学年を超えた強い絆で力を出し切った。 花巻南高校3年の藤舘咲耶主将は「1人でキャプテンをやっていたのではなくて、周りの人に支えられながらやっていて、2年生が支えてくれたから最後までやってこられたと思う」と振り返った。
不来方高校 ともに戦った「仲間」
男子の不来方高校は、2025年に盛岡南高校と統合することが決まっているため、「不来方」の名前で戦うのは今回が最後の春高バレーだ。 春高バレー県大会では最多タイの14回の優勝を果たしている名門・不来方高校だが、ここ2年間は決勝に進むも準優勝。あと一歩の所で涙をのんできた。 “不来方ラストイヤー”となるこの大会で、3年生で1人だけコートの外で見守った選手がいた。 不来方高校3年の村上優斗選手は「自分は1年生のときから試合に出ることができなくて、嫌になったこともあったけど、このチームで勝ちたいという気持ちがあった」と涙を流した。 ベスト8で大会を終えたが、「不来方」の名前を歴史と記憶に刻むべく戦い抜いた。
強豪・盛岡南高校の「歴史」
男子の盛岡南高校もまた、2025年春の不来方高校との統合を前に「盛岡南」として臨む最後の公式戦となった。 かつて、春高バレーの全国大会が3月に開催されていたときは、県大会で5連覇も果たし最多優勝を誇っている。42年目を迎えた名門は岩手のバレー界の先頭を走ってきた。 一関修紅高校との決勝戦は、“盛岡南”のスタンドに統合する“不来方”のバレー部が応援に駆けつけた。 一関修紅高校にセットカウント3対1で敗れ、「盛岡南」として目指した優勝は果たせなかったが、名門の誇りを胸に最後まであきらめないプレーで、42年の歴史を締めくくった。 かつて、盛岡南高校のエースとして春高全国で白星を挙げた相馬高志監督は試合の後、「すまん。正直、この世代は苦しんだと思ったんだ。お前たちには悪いけど『苦しいかな』と思ったけど、よくここまで耐えたと思うし、最後の世代が本当にいい世代だったと俺は思うよ。“締めくくるにふさわしい世代”だった」と選手たちに声をかけた。 盛岡南高校3年の佐々木綺斗主将は「最後、勝てはしなかったけど、この岩手県に『盛岡南』という名を刻めたと思う」と話した。 岩手の高校生バレーボーラー全員の思いを背負い、男子・一関修紅高校と女子・盛岡誠桜高校は2025年1月、全国大会に出場する。 (岩手めんこいテレビ)
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