馬鹿げたアクシデントだ! ストロール、リカルド撃墜でペナルティも裁定に不服「集団の先頭で誰かがブレーキを踏んだ」
アストンマーティンのランス・ストロールは、F1中国GP決勝でRBのダニエル・リカルドに追突したとして10秒のタイムペナルティを科されたが、アクシデントには複合的な要素があったとして裁定を素直に受け止められないと語った。 【動画】ストロール、リカルドに追突。レース再開直前に大混乱|F1中国GP アクシデントが発生したのはレース中盤。バルテリ・ボッタス(キック・ザウバー)のマシントラブルをキッカケとしたセーフティーカー出動から、27周目にレースが再開されるに伴い、首位マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が先頭でペースを落として隊列を作る中、ヘアピン状のターン14で各車の間隔が詰まる状態となった。 リカルドは、直前を走るオスカー・ピアストリ(マクラーレン)がターン14で減速したことを受けてスローダウン。この2台の後ろを走っていたストロールは減速が間に合わず、リカルドのリヤに激突……ストロールのノーズコーンが後部に突き刺さったことで、リカルドはフロアに大きなダメージを負った。これが直接的な原因となり、リカルドはレースを諦めることとなった。 ストロールは破損したフロントウイングをピットで交換してコースに戻ったものの、レーススチュワードは接触の原因がストロールにあるとして、10秒のタイムペナルティを科した。 ストロールはレース中にこのペナルティを消化して15位でチェッカー。ただチームとの無線交信の中でも「信じられないよ。なんて冗談だ」と裁定に疑問符を浮かべた。 というのも、ストロールは今回のアクシデントについて“アコーディオン効果”の影響があったと考えているのだ。 アコーディオン効果とは、交通渋滞における各車両の変動が後方へと伝播し、一般的に後方車両になればなるほど車速変動に対する反応が遅れるというモノ。2020年のトスカーナGPでも同様のアクシデントが発生しており、この際は先頭集団がスローペースでリスタートに向けた駆け引きを行なう中で後方集団とのスピード差が生まれ、玉突き事故が発生。4台がリタイアに追い込まれた。 「アコーディオン効果の影響だ。誰かが集団の先頭でブレーキをかけたんだ。誰かは分からないけどね」 ストロールはアクシデントをそう振り返った。 「そのせいで皆がストップして、僕の前にいたマシンは60km/hからいきなりゼロみたいな感じて止まった。本当にバカみたいなインシデントだ。これはそんな馬鹿げたインシデントのひとつだ」 またストロールは、アコーディオン効果の影響をスチュワードは考慮すべきだったとして、ドライバーひとりの責任ではないと主張した。 「(ペナルティは)僕が当たったからだと思う。でも誰かがブレーキを踏んでアコーディオン効果を引き起こしたんだ」とストロールは言う。 「結果的にリカルドにぶつかったから僕がペナルティを受けたけど、何もかも普通の状態で、ただ僕が彼の後部にぶつかったというわけじゃないんだ」 「アコーディオン効果のような奇妙な効果があったから、スチュワードにはもう少し考慮してほしかった」 ストロールは接触直後こそ「このバカが急ブレーキを踏みやがった!」とリカルドに対して無線で怒りをあらわにしたが、レース後には「彼のせいじゃないと思う」「急ブレーキをかけたとは思わない」と責任はリカルドにないと語った。 一方レース後も怒りが収まらないリカルドは、ストロールに対して「前のマシンに注意を払うべきだ」と語ったが、ストロールはそのコメントを受けて、改めて不可抗力だったと強調した。 「いやいや、誰かが前でブレーキを踏まなければアコーディオン効果もなく、何の問題もなかったはずだ。本当に馬鹿げたインシデントのひとつだと思う」
滑川 寛, Jonathan Noble