香港動植物公園のサル、2日間で9匹が細菌感染死
【東方新報】香港動植物公園(Hong Kong Zoological and Botanical Gardens)のサルが2日間で9匹も突然死したことについて18日、政府所管部門が解剖報告書を示し、死因が類鼻疽(るいびそ)という感染症であると発表した。 香港特別行政区の文化・スポーツ・観光局の楊潤雄(Kevin Yeung)局長は「サルの病死は、類鼻疽菌(るいびそきん)というバクテリアによる感染症が原因で、食中毒ではなかった」と述べた。 この病気は通常は、人から人、または動物から人に感染することはめったにないが、汚染された土壌や水に接触した時に人の皮膚から、また感染者の血液や体液が体内に入った場合に、感染する可能性があるという。 ブラッザグエノン1匹、コモンリスザル1匹、ワタボウシタマリン3匹、シロガオサキ3匹の合計8匹のサルが死んでいるのが香港動植物公園で発見され、翌14日にもさらに1匹が死亡した。 このうちワタボウシタマリンは、主にコスタリカとコロンビア北西部に生息する絶滅危惧種である。 この事件を受け、動物園の哺乳類セクションが14日から閉鎖され、検査と消毒、清掃が行われている。 楊局長は、このサルの感染死を、花壇の下の灌漑用パイプの改修工事に起因する可能性があると指摘している。その工事で汚染された土壌が掘り返され、作業員の靴に付着して細菌が拡散したというのだ。 香港衛生署衛生防護センターが公園内のサル17匹のPCR検査を実施したところ、全てのサルから類鼻疽菌が検出されたという。 また動物たちの食物、水、土壌サンプルの検査も実施された。土壌サンプルの初期結果は陰性だったが、さらなる細菌培養検査が予定されている。 楊局長は、感染したサルと健康なサルを隔離し、関連区域を徹底的に清掃する措置を講じたと説明している。同様の感染事件の再発リスクを軽減するため、今後は消毒措置の強化に重点的に取り組むとしている。 香港漁農自然護理署検査検疫分署の薛漢宗(Thomas Sit Hon-chung)副署長は「この感染症の潜伏期間は約1週間であり、サルの突然死と一致している。目下のところ類鼻疽菌に対するワクチンはまだ無い。土壌や水に接触する可能性のある活動に参加する際には、適切な保護服や靴を着用することが推奨される」と説明した。 香港衛生署衛生防護センターのウェブサイトによると、類鼻疽菌は台風や暴風雨の最中や暴風雨の後に、汚染された土壌や水によって感染する可能性があり、市民は台風や暴風雨の間は屋内に留まり、泥水や土壌との接触を避けるべきだとしている。 香港動植物公園は、1871年に一般公開された香港で最も古い公園である。公園は5.6ヘクタールの面積を占め、約40の囲いの中で、約158種の鳥類、93種の哺乳類、21種の爬虫類が飼育されている。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。