[交通系雑学] 標識に使われている文字の書体(フォント)が使い分けられている理由とは?
文字の書体を表す言葉=フォント。日常生活で見かける文字は、用途に応じてさまざまなフォントが使われていますが、実は道路標識でもフォントが使い分けられています。 【写真をまとめて見る】〈2024年5月版〉50cc原付バイクおすすめ12選:カブ系/スクーター/電動バイクを網羅 バイクはツーリングの進捗確認などのために、地名が書かれた案内標識を見ることが多い傾向にありますが、道路標識のフォントにまで着目するライダーは少ないかもしれません。 昔と今では使用されているフォントが異なるほか、一般道と高速道路でもフォントが使い分けられていると言います。いったいなぜ、標識のフォントを使い分ける必要があるのでしょうか。
道路標識に使われるフォントが一般道と高速道路で違う理由とは?
道路標識に使用されるフォントは、ゴシック体/明朝体/筆書体などの書体分類のカテゴリがあり、その下に細かな違いが設けられた「ナール/ヒラギノ」などの書体名が無数に存在します。その数は和文用だけでも約3000種類に及ぶとされ、外国語なども含めるとさらに増えるそうです。 フォントは文字の形だけでなく、文字線の太さ/密度/縦線と横線のバランスなども異なるため、視認性/可読性/判読性に大きく影響します。中でも日本の標識は漢字が用いられるため、文字線が密着しすぎると可読性が著しく低下します。 とくに道路標識となると、遠くからでも短時間で正確に文字を読み取る必要があるため、フォントが持つ役割はそれだけ重要といえるでしょう。 ただし以前の道路標識は、ゴシック体の角部を丸めた丸ゴシック体が基本とされるだけで、細かな決まりはなく地域によってバラバラでした。現在はフォントにも基準が設けられたことで統一されていますが、以下のように一般道と高速道路では異なるフォントが使い分けられているようです。 ●一般道 :丸ゴシック体 ナール(和文用フォント) ●高速道路:角ゴシック体 ヒラギノ(和文用フォント) では、無数にあるフォントのなかから、どのような理由でこれらのフォントが選ばれたのでしょうか。 一般道用のフォント選定にあたっては、以下の理由から丸ゴシック体の「ナール」に統一されたと、一般社団法人全国道路標識標示業協会 関東支部の資料に記録が残っています。 ●地名/通称道路名等の表示は、視認性に優れているとともに、環境デザイン上から見ても美しく、道路景観を損なわない書体にされていることが望ましい ●一般道の標識は、運転手ばかりでなく一般市民とも密接な関係にあるため、社会生活および教育に及ぼす影響を考慮し、俗字や点画を簡略化したも文字は使用しないものとする ●従来の標識との間に違和感を生じないことを定型化の基本としている、など 一方、高速道路はやや事情が異なります。 高速道路では、1963年の初開通以来、漢字の視認性を高める目的で、複雑な文字の一部を省略した「公団文字」と呼ばれる旧道路公団のオリジナルフォントが用いられ、民営化後のNEXCOの管轄に変わってもそのまま使用されてきました。 しかし「簡略化された文字は正しくない」と指摘されることもあったそうで、公団文字と同等以上の視認性を備えつつ、文字を正確に記載でき、標識製造時にもばらつきが生じないフォントを使う必要に迫られたとのことです。 そこで、一般流通している角ゴシック体の「ヒラギノ」が選ばれ、2010年以降はNEXCO東日本/中日本/西日本いずれもヒラギノを使用するようになりました。ただし、NEXCO管轄以外の高速道路は、管理会社によって細かな書体が異なります。 首都高速では、旧首都高速道路公団時代から「ゴナ」が使用されており、現在は「新ゴ」が用いられています。その他の都市高速道路も、管理会社ごとに使用しているフォントは異なるようです……
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ヤングマシン編集部