「リストラから大逆転!」実在する経営者のヤバい人生を描いた映画(3)胸アツ日本映画…開発競争を制したのは?
ビジネスで成功し、大金持ちになる夢を持つ人は少なくないだろう。成功する秘訣があるなら誰しもが知りたいと思うもの。しかし誰も思いつかないような天才的な発想を持つ人間や、成功への執念が強い者の人生は、並大抵ではない。だが大きな成功を収めるには、彼らの考え方は参考になる。今回は仕事のモチベーションアップに繋がる作品を紹介する。今回は第3回。(寺島武志)
『陽はまた昇る』(2002)
製作国:日本 監督:佐々部清 原作:佐藤正明 脚色:佐々部清、西岡琢也 キャスト:西田敏行、渡辺謙、緒形直人、仲代達矢 【作品内容】 日本経済が初めてマイナス成長に陥った70年代前半、家電メーカー業界8位の日本ビクター本社開発部門に勤め、あと数年で定年を迎える開発技師・加賀谷静男(西田敏行)に、横浜工場ビデオ事業部への異動命令が下りる。そこは赤字続きの非採算部門。加賀谷に課せられた指令は大規模なリストラだった…。 【注目ポイント】 主人公は、日本ビクター本社開発部門に勤める開発技師・加賀谷(西田敏行)。彼は人材こそ何よりの財産と考えており、一人の解雇者も出さないために極秘のプロジェクトチームを結成。本社に悟られぬようにしながら、家庭用VHSの開発に着手する。 それを聞いた次長の大久保修(渡辺謙)は止めに入る。本社がリストラ対象の赤字部門にそんな計画を認めるはずもない。ましてやこの時、家電メーカーのソニーが、家庭用VTRの商品化にあと一歩の所まで漕ぎ着けていた。 かくして、家庭用VTRの規格争いが起こり、ビクターが開発したVHSと、ソニーが開発したβマックス(ベータ)が激しく戦うことになる。 加賀谷の熱い想いは社員たちに伝わり、開発に向けて動き出すものの、開発に取り組んでいる最中、ソニーが一足先にベータを発表。加賀谷たちは焦りの中、より懸命に開発に打ち込む。加賀谷たちが目指していたのはベータよりも長い、2時間録画の商品だ。紆余曲折の末、加賀谷たちはベータマックスを超える商品の開発に成功する。 しかし、この頃にはすでにベータが世間に認知されていて、国内の規格がベータに統一されようとしていた。加賀谷は親会社・松下電器の相談役である松下幸之助(仲代達矢)を訪ね、直接、開発したVHSをアピールする。松下幸之助はVHSの性能を認め、VHSは販売されるや、大成功を収める。 通産省が新規格を出してはいけないと通達した期日の前日に、VHSは販売をスタートした。まさにギリギリの攻防である。ところが、VHSの売り上げが好調の中、加賀谷の妻が病に倒れ、加賀谷は妻のために会社を辞める決意をする。 最後の出勤日に工場を訪れた加賀谷。そんな彼を待っていたのは従業員たちによる「VHS」の人文字だった。本作では“家電王国・日本”の雰囲気が見事に表現されており、その熱量は、現代にも通じるものといえよう。
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