東京が大雨に襲われたら首都機能が麻痺…能登半島"殺人豪雨"で専門家が警告「10月に日本沈没!」
復興途中を襲った”殺人豪雨”
「この地区は低地なので、浸水を防ぐために床下が50~60㎝ほど高く造られていたんです。それでも水が入ってきて、やがて腰まで浸かるような状態になってしまい、慌てて外に避難しました。部屋から水が引いても泥は残るので、当分住めなくなるでしょう。これからどうすればいいのか……」(市立輪島病院の周辺にある仮設住宅で被災した30代男性) 【殺人豪雨で…】コンクリート製の橋が流失、仮設住宅には泥が堆積……戦慄の「現地写真」 9月20日の午後6時頃から降り始めた記録的な大雨は、石川県の能登半島北部に甚大な被害を及ぼした。23日時点での総雨量は輪島市で500㎜、珠洲市で400㎜に及び、いずれも観測史上最大を記録。これまでに7人が死亡し、避難者は600人を超えている(9月23日現在)。 22日、FRIDAY記者は輪島市を訪れた。市内では至る所で土砂崩れが発生し、周辺には強烈な土のにおいが漂う。普段は穏やかな川が氾濫し、濁流によって押し流された家屋や車をいくつも見かけた。今年1月の巨大地震を受けて復興途中だった家屋や商店、インフラが壊滅的な打撃を受けた――。 未だ行方がわかっていない中学生3年生の喜三翼音(きそはのん)さん(14)と家族ぐるみの付き合いがあったという女性が語る。 「私の息子が、1月の地震が起きるまで翼音ちゃんと付き合っていたんです。彼女とは一緒にご飯を食べに行ったこともあります。すごくいい子だったのに、なんでこんなことになったのか……。どうか生きていてほしいです……」 ◆「どこにいても油断できません。」 気象庁によると、輪島市や珠洲市では降り始めから48時間で、平年の9月1ヵ月分の2倍にも及ぶ降水量に達したという。″殺人豪雨″はいかにして被災地に襲来したのか。 気候変動に詳しい三重大学大学の立花義裕教授が、そのメカニズムを解説する。 「今回の豪雨は、日本海北部から下りてきた秋雨前線に南から暖かく湿った空気が流れ込んだことで発生しました。温暖化によって海水温が上昇していることで、大量の水蒸気が秋雨前線に吸い込まれ、巨大な積乱雲が作り上げられたことも被害を大きくしました」 気象庁気象研究所の研究では、海水温が1℃上がるにつれて1時間当たりの降水量が7~19%増加すると報告されている。気象予報士の森田正光氏は、「引き続き豪雨への警戒が必要だ」と話す。 「昨今の異常な猛暑の影響で、しばらくは日本近海の海水温が例年より高い状態が続くでしょう。秋雨前線の影響が続く10月までは、総雨量500㎜ほどの大雨がいつ発生してもおかしくない」 前出の立花教授も警鐘を鳴らす。 「今回がたまたま能登だっただけで、前線や気圧配置が変われば被災地も変わります。これまで豪雨のイメージがなかった場所も含め、日本のどこにいても油断できません。仮に東京で500㎜クラスの雨が降った場合、河川の氾濫や冠水はもちろん、数日は首都機能が麻痺するような大規模な被害が発生するでしょう」 未曾有の豪雨による″10月日本列島沈没″が、現実味を帯び始めている。 『FRIDAY』2024年10月11日号より
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