首位攻防で見せた千賀滉大の素晴らしい投球。ミスが少ないチームが栄冠に近付く!【伊原春樹の「野球の真髄」】
西武との首位攻防戦で素晴らしい投球を見せたソフトバンク・千賀/写真=内田孝治
ソフトバンクにとっては絶対に負けられない戦いだった。9月12日、西武戦(メットライフ)。前日の同カードに1対4で敗れ、首位の座を明け渡していたソフトバンク。連敗すると、ゲーム差は1.5に開き、西武にマジック11が点灯。一気に“流れ”を持っていかれてしまう。シーズンの分水嶺となる一戦に先発したのが千賀滉大だった。 前回登板の9月6日、ロッテ戦(ヤフオクドーム)で令和初のノーヒットノーランを達成したソフトバンクのエース。中5日の登板であり、さらに大記録を記録した後の登板は得てして達成感とともに極度の緊張感から解放され、その反動が出てしまう。エアポケットにハマって、勝利を挙げることはなかなか難しいところがあるのは確かだ。ましてや、ペナントの行方を左右する大一番。変に力が入って、ピッチングが微妙に狂ってしまう恐れも考えられた。 しかし、千賀は実に素晴らしいピッチングを展開した。力みがなく、右腕から投じられるストレートの質が高い。4回まで完全投球と強力西武打線を寄せ付けない。味方打線が十亀剣から3回まで7安打を放ちながら拙攻を繰り返してゼロ行進が続いたが、自分の投球をすることだけに集中していた。圧巻は0対0で迎えた7回裏。一死二、三塁とピンチを迎えたが、外野フライも許されない場面で栗山巧にはフォークを4連投し、外崎修汰にも最後はフォークで連続三振を奪ってピンチを切り抜けた。 その千賀の頑張りに8回表、打線が2点を先制。その裏、千賀も1点を失ったが、最終的に3対2で勝利してソフトバンクが首位を1日で奪い返した。 残り10試合を切ったが、ソフトバンクと西武の優勝争いは最後の最後まで・・・
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週刊ベースボール