マンション理事役員の悲嘆「私の意見は握りつぶされ、気付けばいつも高額工事ばかり」…管理会社「恐怖の住民支配術」【マンション管理クライシス】
都内のマンション管理組合の理事役員の男性が言う。 「ある時、理事会の議事録を見ると、共用廊下の壁や天井など3箇所のひび割れの補修に37万円をかけるというのです。今なら『暮らしのマーケット』など、事業者とのマッチングサイトを利用すると、数万円程度で補修ができる事業者が見つかります。 【画像】定年後に「持ち家を売った」年金暮らし夫婦たち、そのヤバすぎる末路 口コミ情報も豊富で、ハズレをひく可能性も低く、長期保証が付く業者もある。塗装や軽い修繕なら、こういうサイトを業者選定に活用したらどうかと、管理人を通じて意見をしてみたのです。しかし、その後の理事会議事録を見ても、私の案が検討されている様子はありません」(*記事内容は編集部が保証するものではありません。実際のマンションの状況に合わせて情報を参考にしてください)
管理会社は自社利益に都合の悪い情報を排除する
理事役員の男性が続ける。 「仕方なく、管理会社に直接連絡して検討するように伝えると、次の議事録では『ネット上の事業者は信頼性の観点から利用しないことにした』と短く書かれただけでした。 たまたま、その翌年に輪番で私が理事になったので、前年から留任した理事に当時のことを聞きました。すると、管理会社からは『住民からネットで見つかる安い業者の利用を検討すべきとの意見がありますが、どうしましょうか』というだけの説明だったようです。こういうふうに捻じ曲がって住民の意見を伝えられるのかと思いましたね」 確かに管理会社がこれだけの説明しかしていないなら、マンション管理の運営を担う理事会は却下したくなるだろう。おそらく、管理会社はキックバックが得られない外部の業者は使いたくないという事情があったのかもしれない。
管理会社が高額工事を通すテクニック
マンションコンサルタントの須藤桂一氏が言う。 「管理会社や工事会社は管理組合が、自社の収益に悪影響を及ぼすような知恵を付けてしまうことを、ことさら恐れます。理事会や組合員が情報共有し、割高で不必要な出費が、多数の人に気付かれるような状態になると、自社の収益に響くことになり、これは非常にまずい。 できれば、管理会社や工事会社に『おまかせ方式』で、少し高めの見積書を提出し、少しだけネゴされて発注してもらうというシナリオが一番の理想です。仮に相見積もりを依頼されても、繋がりのある業者にしっかりと高めの見積書を作ってもらい、納得して決定してくれる管理組合が『いいお客様』となるのです。 特に大きな修繕工事などの費用がかかる場合も、輪番でおとなしいイエスマンが集合している理事会の時を見計らって、計画を進めようとするものです」