小池百合子氏の「カイロ大卒業」に問題はないのか…しつこく「学歴詐称」を指摘される女帝の光と影
■自分の代わりにAIに選挙活動させる可能性 第二は、学歴詐称疑惑などについての質問を避けるために、返事をAIに代替させたいのではないか。前回の都知事選では、新型コロナ流行時であったために、街頭演説や討論会は行わないで済んだ。今回は、「AIゆりこ」が答えますと言って逃げるのではないか。 「AIゆりこ」を紹介する動画には、「これまでの都政での取り組みをわかりやすく広く伝えるために、生成AIによる動画を作成しました。現職都知事として公務に邁進(まいしん)している小池ゆりこ本人に代わって、AIゆりこがお伝えします」という投稿がついている。 つまり、現職なので公務が多忙なため、選挙運動はAIに任せますと言って、他の候補との討論会などを避けるのではないだろうか。 4年前の都知事選の際に、学歴詐称疑惑のもみ消し工作を行ったことを側近が暴露したことは、さすがの小池氏にも実は相当にこたえているのではないだろうか。周りに知恵者がいて、「AIゆりこ」という手を考え出したのではないかと私は見ている。 ■再選しても小池氏のレームダック化は間違いない 第三に、「自分は最先端技術に強く、デジタル化などの推進に全力を挙げている。実際にこうしてAIを活用しているではないか」と、有権者に訴えることができる。やはり選挙活動の一環ということなのだろう。 しかし、「AIゆりこ」は選挙の基本から大きく外れる施策だ。街頭演説を行ったり、討論会に参加したりするのは、生の自分を有権者の前にさらけ出して審判を仰ぐためだが、小池氏のような選挙運動は果たして許されるのだろうか。 「AIゆりこ」を作り自分の代わりに選挙運動させることは、公職選挙法を改正して禁止すべきだと思う。 以上述べてきたように、小池が都知事選に当選し、3期目の都政を行うとしても、さまざまな問題が噴出するであろう。小池氏がレームダックとなるのはほぼ間違いない。だから、私は、「小池は政界を去るべきだ」と主張してきたのである。小池氏の政治家としての賞味期限はとっくに切れていると思う。 ---------- 舛添 要一(ますぞえ・よういち) 国際政治学者、前東京都知事 1948年、福岡県生まれ。71年、東京大学法学部政治学科卒業。パリ、ジュネーブ、ミュンヘンでヨーロッパ外交史を研究。東京大学教養学部政治学助教授を経て政界へ。2001年参議院議員(自民党)に初当選後、厚生労働大臣(安倍内閣、福田内閣、麻生内閣)、都知事を歴任。『ヒトラーの正体』『ムッソリーニの正体』『スターリンの正体』(すべて小学館新書)、『都知事失格』(小学館)など著書多数。 ----------
国際政治学者、前東京都知事 舛添 要一