男性更年期、ED、セックスレス「このままでは日本人が絶滅する!?」男性医療の第一人者が語る「本当のヤバさ」
男性更年期は「いつごろ」から起きるのか?40代以降が要注意と言われるが、いちばんヤバいのは
――男性更年期は何歳ごろから起きるのでしょうか。女性の更年期はおおむね閉経前後、47歳ごろ以降ですが、男性も時期があるのですか? テストステロンの分泌量は20歳でピークを迎えたあと、なだらかに、少しずつ落ちていきます。ですから、理屈の上では20歳以降に男性更年期はいつ起きてもおかしくありません。が、若年での発症はそれほど多いわけではありません。やはり40歳、中年期に入っていく時がひとつの目安です。 女性の場合、閉経前後で女性ホルモン量が極端に低下しますが、男性の場合男性ホルモン量は劇的な変化はなく徐々に落ちていきます。ゆっくり落ちていくのは病気ではなく自然な老化だという考え方もありますが、ストレスが加わると極端に落ちるとも言われます。中高年男性に仕事のストレス、家庭のトラブルがのしかかると、通常の男性ホルモン低下速度より急激に値が落ち、その結果男性更年期症状が出ると考えられています。 ――男性更年期の受診ピークは何歳ごろなのでしょうか? 40歳を節目にして激増するのですか? また、ピークに終わりはあるのですか? 体感では圧倒的に50代での発症が多く、50代半ば、55歳前後が男性更年期発症のピークです。バリバリ働く50代は、本来は仕事を最もしないとならない時期なのに、だんだんと若いころのようには賄えなくなってきます。なのに、定年が65歳だとすると、あと10年以上働き続けねばならない。このまま働けるのだろうかという、将来に対する不安もとても大きい時期なのだと思います。 逆に60歳を越えると、人生は上がり。これまでがんばってきた達成感も感じられて、気持ちの上でラクになっている印象があります。リタイア後の65歳以降の来院患者さんたちは精神面の問題が減り、性機能面が増えていく印象です。 やはり仕事上の負担が減るのが大きいですね。僕が10年ほど診察してきた62歳の男性が、「65歳の定年が見えてくるといくら頑張っても出世はなく、給与も上がらないかわり、責任もない。だいぶリラックスして働けるようになって、メンタル面のプレッシャーが落ち着きましたと」言っています。 僕はこれまで、メディアだけでなく様々な学会で講演する機会をいただいたり、市民公開講座でお話したりもしてきましたが、最近は企業に呼ばれて話す機会が増えました。企業は社員の皆さんのメンタル面が落ちてしまわないよう、より活躍してもらいたい50代の健康をいっそう真剣に考えているなと感じます。
ここまでの前編記事では男性更年期が起きる背景を伺いました。続く【後編】では男性更年期を回避する「たった一つの」驚くほど単純な方法と、若年にしのびよる危機について伺います。
オトナサローネ編集部 井一美穂