A東京U18出身の国定悠が目指す究極の文武両道、世界屈指の名門ケンブリッジ大経由でBリーガーへ「中途半端にやるなら意味がない」
目標はA東京とのプロ契約「これまでの恩返しをしたい気持ちは強いです」
ケンブリッジ大で学びながらプロバスケ選手を目指す国定のチャレンジは、最高レベルの文武両道だ。しかし、彼の周りにはそれが普通と考えている人材が数多くいる。ケンブリッジ大は約30の大学群(カレッジ)によって構成されているが、「自分の入っているカレッジは特にスポーツ施設が多くて、オリンピック選手にイギリス代表のスキー選手など、いろいろな競技のアスリートがいます。みんな文武両道は当たり前のようにできていて、僕は簡単にできていないですが、周りを見るとモチベーションが上がります」と、刺激を受けている。 そして、学業との両立には「やる気は日によって変わるのでタイムマネジメントが大事です。ちゃんとスケジュールを組んで、自分がやることをシンプルに決めることです」と語る。さらに次のような柔軟性を持たせることも大切にしている。「スケジュールには、ある程度の余白を持たせています。それによって多少、スケジュール通りに行かなくても、その日の内にやるべきことをできるようにする。そして、リラックスする時間に加え、家族や友達としゃべったり、人とコミュニケーションを取る時間もしっかり取っています」 まだ大学生活はスタートしたばかりだが、今の国定には確固たる目標がある。まず、3年間でしっかりと学士号を取得する(イギリスの学士過程は、日本の4年制に対して3年制)。そして、卒業後はプロバスケットボール選手になること。ビジネスパーソンとしての活動はバスケ選手を引退した後で良いという考えだ。もちろん、A東京のユース出身者としてトップチームに加入し、2025年秋に開業予定となっているA東京の新たなアリーナのコートに立つのが理想だ。そこにこだわるのは、チームへの感謝と愛着がある。 「一期生である僕がトップチームとプロ契約を結べたらユースの評価がさらに高まると思います。ユースは自分の目標を叶えるためにいろいろなサポートをしてくれました。例えばコーチは選手を信頼して、問題に直面しても簡単に答えを教えないなど、僕たちが自分で答えを見つけるのを待ってくれていました。そのおかげで自分は成長できましたし、これまでの恩返しをしたい気持ちは強いです」 日本各地の高校バスケットボール部が、ユース世代の選手育成の要となっているのは今も昔も変わらない。だが、Bリーグのユースが誕生したからこそ、国定のようなこれまでにないプロバスケ選手を目指す道のりが生まれた。今から3年後、Bプレミアにおいて、イギリス帰りの逆輸入選手として国定が躍動する姿を期待したい。
鈴木栄一