【プレミアEAST】市立船橋、横浜FCユースに1‐0で完封勝利し、残留に前進。選手権敗戦からの3週間、失意の市船はどう立ち直ったのか。
優勝争いに残留争い。それぞれで真っ只中の両チームが相まみえた。 11月24日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ2024 EAST第20節の5試合が各地で行われた。 【フォトギャラリー】 横浜FCユース vs 市立船橋 正午キックオフ。神奈川県立保土ヶ谷公園サッカー場では横浜FCユースと市立船橋が対戦。 試合は前半29分、市立船橋MF7峯野倖のロングパスに反応したFW33仲野真翔が滑り込みながら左足で合わせシュート。これが相手GKの股をすり抜け、ゴールとなり、市立船橋が先制した。決めたFW33仲野は「背後に抜ける動きを狙っていました。ボランチの峯野選手がピンポイントで出してくれたので、あとは流し込むだけでした」と振り返った。 その後、市立船橋は人数をかけた堅守をベースにしたカウンターサッカーを展開。押し込まれる時間はあったものの、危ないシーンはそうなかった。後半の中盤から終盤にかけ、互いの陣を行ったり来たりと忙しい展開となったが、追いすがる横浜FCユースをはねのけ、1‐0で完封勝利をおさめた。 勝因をGK1ギマラエス・ニコラスは「フィールドの選手がしっかり守ってくれたので、ピンチはそれほどありませんでした。点が入らないとどうしても焦れてしまうので早い時間で決まったほうが、(味方は)守備に意識をむけてくれるので、そのことが良かったと思います」と語った。 また取材に応じた中村健太コーチは「選手たちが自立して考えながら、時間が経つごとに、追いつかれないように守るときは守る、チャンスのときはしっかり攻める、そのメリハリが良かったです」と明かしたように堅守速攻ながら、シュート数は横浜FCユースより2本多い12本と、まさにメリハリのある戦いができたといえる。 市立船橋は勝点を「23」に伸ばし、10位に。自動降格圏の11位・尚志との勝点差を「3」とし、残留に一歩、近づいた。 今回の勝利は市立船橋にとって復権のリスタートとなった。 3週間前の11月3日、柏の葉運動公園総合競技場で行われた、第103回全国高校サッカー選手権千葉予選準決勝。前回大会では全国3位だった市立船橋が日体大柏にPK戦で敗れた。このショックは計り知れないものだった。 「はじめの1週間はみんな立ち直れませんでした。立ち直ろうと声をかけても心のどこかに選手権のことが残っていて、立ち直れませんでした」(キャプテンマークを巻いたMF12金子竜也) しょぼくれているばかりでは名門・市船の名が廃る。1週間が過ぎたころから、次なる目標を見出したイレブンの目に生気が戻ってくる。それはプレミアリーグ残留。 「1週間経った頃には、プレミアリーグ残留にむけ、全集中しようと気持ちが切り替わりました」(MF12金子) 「選手権が終わって、3年生から『次の代にプレミアリーグを残していこう』と言葉がありました。『もう一回、やるべきことをやっていこう』『来年以降の市船のことを考えて戦おう』と切り替えてくれました。敗退からの3週間、大きなショックを受けましたが、試合(横浜FCユース戦)が近づくにつれ、しり上がりになって、自分の気持ちをコントロールしてくれました。それが今回の結果につながりました」(中村コーチ) そして、こんな声も。 「負けたあとの1週間、2週間、そしてきょうまで諦めたくなる気持ちがなかったわけではありません。でも、僕らを支えてくれる人、応援してくれる人、その人たちのために。そして個人のためではない、誰かのために、市船という存在のためにプレーできたことが力になりました」(GK1ギマラエス・ニコラス) チームのため、応援する人たちのため、そして市船のため。この思いが完封勝利につながり、残留へ貴重な勝点をもたらした。 プレミアリーグEASTは残り2試合。次節、市立船橋は同じ勝点「23」で並ぶFC東京U-18と船橋市法典公園(グラスポ) 球技場で残留にむけた直接対決を行う。 (文・写真=佐藤亮太)