「中国の業者にマイナンバーは出ていない」日本年金機構が支払いミス陳謝
日本年金機構の水島藤一郎理事長は20日、2月支給分の年金が本来の額より少なく支払われた問題について、厚生労働省で会見し、支払いミスは年金機構が業務委託した業者の事務処理が適切でなかったことによって生じたと釈明し、「国民の年金事業への信頼を毀損するもの。心から深くお詫び申し上げる」と陳謝した。この委託業者が契約に違反し、中国の業者に個人データの入力業務を再委託していたことも判明したが、「中国にマイナンバーは出ていない」と強調した。
業務委託先の業者は「SAY企画」(東京都豊島区)。年金機構では、所得税などを源泉徴収した上で年金を支払っているが、この委託業者の入力業務には、源泉徴収税額を算定するための扶養親族等申告書に関するデータ入力でミスや漏れがあった。そのため「源泉徴収税額を正しく反映できないお客様が生じた」として、水島理事長は「機構で4月13日の支払いに向けて全力を尽くして対応している」と述べた。年金額は多い人で5万円、少ない人で1万円少なく支払われていたという。 個人情報保護のために別業者への再委託は契約で禁じられていたが、この業社はこうした個人情報データの入力業務を無断で中国・大連の業者に再委託していた。水島理事長は「扶養親族等申告書の氏名の部分のみを切り取って再委託したと報告を受けている」と述べ、その中にマイナンバーは含まれておらず、中国には流出していないと説明した。 中国の業者のセキュリティ体制や個人情報などの管理体制については、日本アイ・ビー・エムに監査を依頼。「委託された入力情報も適切に管理・削除されており、特段の問題はなかった」との報告を受けているとした。 SAY企画に対しては、3月20日から3年間、年金機構の競争入札への参加停止などの措置を取ったとし、「機構の監督のあり方を全面的に見直す。どこまで業務委託してもいいのか。内製化も含めて検討する」と述べた。 年金機構によると、中国の業者に渡った個人情報は約501万人分の申告書のうち扶養親族の名前の部分のみだという。今回の入力漏れ・入力誤りで年金額に影響が出る可能性があるのは最大で約40.2万人。この中には適正に支払われている人も含まれているといい、正確な人数は3月26日をめどに確定するとしている。