「え、爆発させたの…」『銀河鉄道999』実は宇宙を操っている!? メーテルが「消滅させた疑惑のある星」たち
■かたき討ちに来た星を頭脳連動で爆破「好奇心という名の星」
同じくコミック2巻に掲載されている「好奇心という名の星」でも、メーテルにより破壊された星が登場する。 本作で999号は、巨大な目玉のようなものを持つ「好奇心」という星と、それを追いかける月に追跡されることとなる。その後、鉄郎、メーテル、車掌は「好奇心」に捉えられ、裸になるよう命じられる。さらに「好奇心」は服を脱いだメーテルの体の中身に興味を持ち、車掌らにメーテルを解体するよう脅して苦しめるのだ。 あまりの暴挙に怒った鉄郎が機転を利かせてナイフで惑星の地面を切り裂くと、星は「ミナイデ ミナイデ、恥ズカシイ!! ミナイデクレッ!!」と、激しく抵抗する。その隙に、3人は999号に乗り込み脱出するのだが、その直後、「好奇心」は恥ずかしさのあまり自爆するのであった。 しかしその後、月が“親の仇だ!”と言わんばかりに999号に付いてくる。その様子を見たメーテルは「こんどは私がやる番ね!! 機関車のコンピュータを私の頭脳と連動させてみるわ」と言い、姿を消す。その後999号内には急に遠心力が掛かり、999号を追いかけていた月はもう1つの衛星へと突っ込み、両方の星は爆発して消滅するのであった。 自らの頭脳を使い、星を2つも消滅させてしまったメーテル。彼女には宇宙の法則をも変える力があることを考えると、ちょっと空恐ろしさも感じるエピソードだ。 2つの星の爆発を見ながら「あの親子は、一度火の玉になって元の自然の星にかえるほうがしあわせなのかもしれないわ」とつぶやくメーテルは、まるで宇宙を支配する母のような存在でもあるのだろう。
■激怒したメーテルの復讐!?「二重惑星のラーラ」
最後はメーテルが激怒し、星を爆破させたエピソードを紹介したい。4巻に登場する「二重惑星のラーラ」にて鉄郎とメーテルは「完全機械化」という二重惑星に降り立った。 そこでラーラという女医の策略で、鉄郎はラーラと体を入れ替えられてしまう。さらに、惑星の住人であるモグリの医者・メストールと共謀して999号に乗ろうとする計画を知ったメーテルが激怒したことで、鉄郎はなんとか無事に体を取り戻すのであった。 その後、鉄郎はラーラをやっつけ、2人は999号に急いで戻る。しかしその途中メーテルは鉄郎に「ちょっと先に行ってて」と伝え、どこかに消えたあと再び戻ってくるのであった。 飛び立つ999号のなかで「いやな星だった」とつぶやく鉄郎。すると突然、二重惑星が爆発してしまう。車掌はその理由を“機械化都市のエネルギーコントロール機械に故障があったそうです”と説明するものの、メーテルはすました顔だ。 それを見た鉄郎は「(メーテルは)ぼくに目をつぶれといった。 この二つの星の爆発に目をつぶれといったんじゃないだろうか……?」と、爆発の原因はメーテルの仕業ではないかと考えるのであった。 鉄郎が無理やりラーラの体にされたあげく、メストールが“私も生身の体が欲しい”という理由でメーテルの体を奪おうとし、メーテルは「私はこの星が 心の底からきらいになったわ」「こんな星など ほろびてしまうがいい!!」と、珍しく感情をあらわにし激昂していた。 爆発の原因は定かではないものの、「ちょっと先に行ってて」と鉄郎に伝え星に戻ったメーテルの空白の時間を考えると、この爆発に関与した可能性は十分にあるだろう。作中、明言されていないからこそ、メーテルの持つ謎の力について頭を巡らせてしまう。 このように数々の星を爆発させた可能性のあるメーテル。謎多き美女の正体は最終話で明かされているが、その背景を踏まえるといくつかの星を爆破させてもおかしくはないと言える。 いつも旅する銀河鉄道999号の窓には、無限の星がきらめいている。そのなかの星の数々を消滅させたであろうメーテルには、宇宙を操る力もあると考えられる。彼女の目的や過去が明らかになるにつれて、彼女の考えや行動は徐々に理解できるかもしれない。
でかいペンギン