興収80億円突破、2024年実写映画ナンバーワンも確実 『キングダム 大将軍の帰還』の功績
11月第4週の動員ランキングは、『室井慎次 生き続ける者』が週末3日間で動員14万3000人、興収2億200万円をあげて2週連続で1位を獲得した。2週前の先行上映を含む累計成績では動員74万1200人、興収10億2200万円。これは公開から45日間で興収17億1000万円に到達している前編『室井慎次 敗れざる者』とほぼ同じペースで、「2作品の合計でなんとか19年前の『容疑者 室井慎次』の最終興収38.3億円に届けば」とした6週前の本連載における予測通りの展開となっている。 【写真】『キングダム 大将軍の帰還』場面カット(多数あり) 同じく2週連続で2位につけたのは、『劇場版「進撃の巨人」完結編THE LAST ATTACK』。週末3日間の成績は前週を上回る動員13万8000人、興収1億9400万円を記録。公開から17日間の累計成績は動員57万9200人、興収8億1800万円。こちらも「興収10億円の大台も十分に狙える情勢だ」とした2週前の予測通りの展開だが、当初3週間限定とアナウンスされていた公開期間の延長が新たな来場者プレゼントとともに発表されている。このところすっかり閑散期に入っている劇場サイドからの要望もあったのだろうが、慌てて劇場に駆けつけた観客サイドからの「話が違うよ」というネガティブな反応がほとんど見受けられないのは、作品そのものにファンダムが形成される時代ならではの現象と言えるだろう。 さて、それほど好成績ではないのにランキング上位の作品に変わり映えがない一方、11月14日までの公開126日間で観客動員数543万人、興行収入79.9億円を突破、それから2週間以上経った現時点で確実に興収80億円に到達していて、今なお上映が続いている『キングダム 大将軍の帰還』について総括しておきたい。シリーズ4作目の本作の最終興収を仮に80億円(実際はもう少し積み上げるだろう)とすると、『キングダム』シリーズの最終興収はこれまで、57.3億円(2019年4月公開の『キングダム』)→51.6億円(2022年7月公開の『キングダム2 遥かなる大地へ』)→56億円(2023年7月公開の『キングダム 運命の炎』)と、2作目で一旦下がったものの3作目から右肩上がりに、そして今回の4作目で飛躍的にそこから興収を伸ばしたこととなる。これは、4作品以上が作られた日本映画の実写作品として、近年ほとんど例が見当たらない大成功フランチャイズに成長したということだ。 映連(日本映画製作者連盟)の発表する年間興収ランキングは前年の12月からその年の11月までの公開作品を対象としているので、『キングダム 大将軍の帰還』が2024年の実写映画ナンバーワン作品となるのは確実。2021年以降アニメーション作品に占有されてきた年間トップ3の一角に『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』、『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』に続いて入ることも確実。近日中に、もしかしたら噂されている続編製作の発表とも合わせて、最終上映や80億円の大台突破などの正式な発表があることが予想されるが、一足先にその功績をここに記しておく。
宇野維正