生成AIプロジェクトの「30％が中止」に？ iPhone16が大注目でも「AIバブル崩壊」へ…
生成AIは「幻滅期」へ
多くの企業がAI投資を削減し始めれば、AI銘柄の高値は正当化できなくなる。そのきっかけになるのは何か。 ガートナーがまとめた「デジタル ワークプレイス アプリケーションのハイプサイクル」（図3）によれば、（1）イノベーションの引き金が引かれ、（2）過剰な期待がピークに達し、（3）幻滅期に突入した後、（4）啓もう期が始まり、（5）AIが真に生産性を向上させる、という道筋が想定されている。ハイプサイクルによれば、生成AI（Generative AI）はすでに幻滅期に突入している。 幻滅期ではAIに対する法人需要が減衰する。ただ、その後の啓もう期では本格的な法人需要が見込まれる。コンシューマー向けにおいても、AI機能を持つパソコンやスマートフォンの新機種に関する競争は実用性勝負となろう。
「AIブームの終焉」はいつ？ 「勝ち組」はどこに？
AI市場で勝ち組となるのは、パランティア・テクノロジーズのように、すでに実用性の面で成功を収めている企業ではないだろうか。同社は、米国防総省や中央情報局（CIA）、連邦捜査局（FBI）などの政府機関を主要顧客にして、それらの機関が持つ複雑かつ大量のデータをAIで統合・分析して新たな価値を引き出し、意思決定をしやすくするサービスを提供している。 パランティアは売れ筋のデータ統合分析AIで、サブスクリプションベースの長期ライセンス使用契約を顧客と結んでいる。安定した使用料収益を定期で稼いでいるが、同社のように、高い実用性のある製品やサービスを継続的に提供できる企業が「ホンモノ」として生き残るのだろう。 一方で、顧客企業や一般消費者に「使いものにならない」と判断されたAI企業は淘汰されてゆく。 ガートナーの予測や現在の米経済の方向性などを勘案すると、AIブームの終わりは2026年よりも早く、2025年にやってくる可能性が高まっているのではないだろうか。そして、真に実用性のある、リターンの高いAI製品やサービスが定着するのは、2030年くらいなのかもしれない。
執筆：在米ジャーナリスト 岩田 太郎
