バイナンス、米刑事訴訟の和解で43億ドル支払いへ──ジャオ氏は有罪認めてCEOを辞任
コンプライアンス監視者も任命
有罪答弁の条件に基づき、バイナンスは罰金に加えて独立したコンプライアンス監視者を3年間任命し、コンプライアンスの取り組みを米国政府に報告する必要がある。ジャオ氏は、バイナンスの「現在および将来の運営や管理への関与」を禁じられているが、その禁止措置は監視者が任命されてから3年後に終了する。 対バイナンス訴訟の解決は、破綻した暗号資産取引所FTXの創設者サム・バンクマン-フリード(Sam Bankman-Fried)氏がFTXに関連した詐欺罪と共謀罪で有罪判決を受けてからわずか数週間後に行われたもので、アメリカ政府が大手暗号資産事業者に対して大きな勝利を収めた新たな事例となった。 機密扱いではない提出書類によると、ジャオ氏はアメリカの銀行規制の遵守よりも「バイナンスの成長、市場シェア、利益を優先した」という。文書には、同氏が従業員に対し、「許可を得るよりも許しを乞うほうが良い」と語ったと記載されている。その考え方は、同氏がアメリカの「グレーゾーン」と呼んだ部分でのバイナンスの運営に浸透していた。バイナンスがユーザーに関する「本人確認(KYC)」情報を収集しないように同氏が取り計らったのは、それがバイナンスの成長と魅力を阻害すると考えたからだ。 こうした過失により、バイナンスは制裁規定を含む複数の米国法に違反するリスクにさらされている。裁判所への提出書類によると、ジャオ氏のスタッフは、バイナンスが制裁対象国のユーザーにサービスを提供しているとジャオ氏に警告していたという。
バイナンスの反応
バイナンスはブログ投稿で、名前を挙げたさまざまな機関との「解決」に至ったことを認めた上で、バイナンスは過去数年間再編に取り組んできたとし、「コンプライアンスの深い経験を持つ新しいリーダーシップ」に言及。「今後50年間の基礎を築く中で、バイナンスがより強力な企業として浮上すると確信している」と表明した。 新しいCEOであるテン氏はX(旧ツイッター)、バイナンスには依然として約1億5000万人のユーザーと数千人の従業員がいると指摘。「私の焦点は次のことにある。1)企業の財務健全性や安心、安全に自信を持ち続けてもいいとユーザーを安心させること、2)重要な消費者保護を提供しながらイノベーションを促進する世界規模での高い基準を維持するために規制当局と協力すること、3)パートナーと協力してWeb3の成長とアダプション(採用)を促進することだ」と述べた。 ジャオ氏は、パッシブ投資に関わったり、さまざまなプロジェクトで少数株主になったりするかもしれないし、分散型金融(DeFi)にもっと目を向けるかもしれないと語った。