NY市場サマリー(20日)ドル上昇、利回り上昇 株まちまち
<為替> ドルが上昇した。市場では連邦準備理事会(FRB)の金融政策や、トランプ次期大統領の政策の行方を見極めようとする動きが出ている。 終盤の取引で主要通貨に対するドル指数は0.52%高の106.65。ドル/円は0.43%高の155.31円。ユーロ/ドルは0.5%安の1.0542ドル。 ドル指数は米大統領選以降、約3%上昇。トランプ氏の政策がインフレ再燃につながり、FRBの利下げペースが鈍化するとの見方が台頭したことがドルの支援要因になってきた。 短期金融市場でFRBの利下げ見通しは後退。CMEフェドウオッチによると、12月の会合で0.25%ポイントの利下げが決定される確率は52%と、1週間前の82.5%から低下した。 FRBの金融政策を巡っては、パウエル議長が先週、利下げを急ぐ必要はないとの考えを示した。 この日はクック理事が、インフレは引き続き緩和しているとした上で、利下げ継続が適切となる可能性が高いと指摘。一方、ボウマン理事は、インフレが依然として懸念材料となる一方で労働市場は堅調だと指摘し、さらなる利下げには慎重な姿勢を取るよう求めた。 インフラストラクチャー・キャピタル・アドバイザーズ(ニューヨーク)のジェイ・ハットフィールド最高経営責任者(CEO)は「日本は例外だが、世界の多くの国は利下げを行わざるを得ない」とし、FRBの利下げを巡っては「過度に弱気」な見方が広まっているとの見方を示した。 暗号資産(仮想通貨)のビットコインは1.81%高の9万3912ドル。一時9万4000ドル台に乗せ、過去最高値を更新した。トランプ次期米大統領のSNS(交流サイト)運営会社が暗号資産(仮想通貨)取引プラットフォームのバクトの買収に向け交渉しているとの報道が押し上げ要因になっている。 NY外為市場:[USD/J] <債券> 国債利回りが上昇した。米財務省がこの日実施した20年国債入札で需要の弱さを確認したことを嫌気した。 トレーダーらは、FRBが利下げサイクルを一時停止する時期を見極めたいとしている。市場参加者は現在、トランプ次期大統領の政策と、FRBの金融政策に影響を与える可能性のある指標待ちとなっている。 マニュライフ・インベストメント・マネジメントの米国金利取引責任者、マイケル・ロリツィオ氏は「次回の非農業部門雇用者数と消費者物価指数の発表まで待たなければならないようだ」と述べた。 FRBの理事2人は20日、今後の金融政策について相反する見解を示した。 政策担当者内で最もタカ派的とされるボウマン理事は、インフレが依然として懸念材料となる一方で労働市場は堅調だと指摘し、さらなる利下げには慎重な姿勢を取るよう求めた。 一方、クック理事は、インフレは引き続き緩和しているとした上で、利下げ継続が適切となる可能性が高いとの見方を示した。 CMEグループのフェドウオッチによると、トレーダーらはFRBが12月に25ベーシスポイント(bp)の利下げを行う確率を55%と予想。1月にさらに25bpの利下げが行われる確率はわずか15%とみている。 この日実施された160億ドルの20年債入札に対する需要は弱く、最高落札利回りは入札前取引より約3bp高い4.680%となった。応札倍率は2.34倍と、2022年8月以来の低水準となった。 アクション・エコノミクスの債券担当マネージングディレクター、キム・ルパート氏は「入札の不振は弱気相場をさらに強めた」と語った。 10年国債利回りは3.3bp上昇して4.412%となった。 2年債利回りは3.6bp上昇して4.308%。2年債と10年債の利回り格差は10.4bpに縮小した。 米金融・債券市場:[US/BJ] <株式> ハイテク銘柄中心のナスダック総合が下落して取引を終えた。ロシアとウクライナの緊張激化を巡る懸念が重しとなった。ディスカウント大手ターゲットの決算がさえなかったことも相場を圧迫した。 ダウ工業株30種とS&P総合500種は終盤に切り返し、ダウは上昇して終了。S&Pは横ばいとなった。 ウクライナは20日、英国製の長距離ミサイル「ストームシャドー」を初めてロシア領に向けて発射した。前日の米国製の長距離地対地ミサイル「ATACMS」に続き、2日連続で西側諸国から提供された長距離弾を使用しロシアを攻撃した。 DAデビッドソンのウェルスマネジメントリサーチ責任者、ジェームズ・レーガン氏は「前日はグロース(成長)株とハイテクセクターが力強く上昇したが、きょうは守勢的な動きがやや強まった」と指摘。 「エヌビディアの決算を控えた慎重な見方や、ターゲットの決算を受けた全般的な反応なのかもしれない。ウクライナとロシアの緊張や米大使館閉鎖など地政学的な懸念も高まっている」と話した。 半導体大手エヌビディアは引け後の決算発表を控え、0.76%下落した。決算発表では第4・四半期(11─1月)の売上高見通しが一部の投資家の高い期待に届かず、株価はさらに下落した。 通常取引では同社株の下落に圧迫され、情報技術セクターが0.23%安となった。 ターゲットは21.4%の大幅安。第4・四半期(11―1月)の既存店売上高と利益の見通しが市場予想を下回った。 一般消費財は0.57%安と、S&P主要セクターで最大の下落率を記録した。 グロース銘柄も売られ、テスラは1.15%、アマゾン・ドット・コムは0.85%、それぞれ下落した。 暗号資産(仮想通貨)ビットコインが9万4000ドルを超えたことを受け、関連銘柄は上昇した。マイクロストラテジーは10%高、マラ・ホールディングスは13.9%高。 米国株式市場:[.NJP] <金先物> ウクライナ情勢の緊迫化を背景に安全資産としての金への買いが継続し、3営業日続伸した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は、前日比20.70ドル(0.79%)高の1オンス=2651.70ドル。 NY貴金属:[GOL/XJ] <米原油先物> 予想を上回る米原油在庫の積み増しを背景に、3営業日ぶりに反落した。米国産標準油種WTIの中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前日比0.52ドル(0.75%)安の1バレル=68.87ドルだった。1月物は0.49ドル安の68.75ドル。 米エネルギー情報局(EIA)が午前発表した週間在庫統計で、原油在庫は前週比50万バレル増、ガソリン在庫は210万バレル増となり、積み増し幅はいずれも予想を大きく上回った。これをきっかけに需給の緩みが意識され、原油は売りが優勢となった。一方、地政学的緊張の高まりを背景とした供給不安も根強く、相場はプラス圏に浮上する場面もあった。 NYMEXエネルギー:[CR/USJ] ドル/円 NY終値 155.43/155.44 始値 155.83 高値 155.88 安値 155.07 ユーロ/ドル NY終値 1.0543/1.0545 始値 1.0554 高値 1.0567 安値 1.0509 米東部時間 30年債(指標銘柄) 17時05分 98*12.50 4.5994% 前営業日終値 98*29.50 4.5660% 10年債(指標銘柄) 17時05分 98*22.00 4.4139% 前営業日終値 98*31.00 4.3790% 5年債(指標銘柄) 17時05分 99*09.50 4.2839% 前営業日終値 99*14.50 4.2480% 2年債(指標銘柄) 17時05分 99*20.38 4.3208% 前営業日終値 99*23.25 4.2720% 終値 前日比 % ダウ工業株30種 43408.47 +139.53 +0.32 前営業日終値 43268.94 ナスダック総合 18966.14 -21.33 -0.11 前営業日終値 18987.47 S&P総合500種 5917.11 +0.13 +0.00 前営業日終値 5916.98 COMEX金 12月限 2651.7 +20.7 前営業日終値 2631.0 COMEX銀 12月限 3100.5 ‐25.7 前営業日終値 3126.2 北海ブレント 1月限 72.81 ‐0.50 前営業日終値 73.31 米WTI先物 1月限 68.75 ‐0.49 前営業日終値 69.24 CRB商品指数 286.2412 +1.1461 前営業日終値 285.0951