「400万円の減税」目当てで広いマンションを買うと後悔する…お金のプロが説く「住宅ローンでトクをする」条件
■すべての人が受けられるわけではない そもそも、住宅ローン減税の最大減税額は、必ずしもすべての人が受けられるわけではありません。 住宅ローン減税は「年末ローン残高の一定割合が一定の年数」税額控除される制度です。 2024年に長期優良住宅などを住宅ローンで購入した人の場合、4500万円を上限に0.7%の金額が13年間、減税されます。 4500万円以上のローンを組んでいる人は、その0.7%に当たる31.5万円が最大の年間控除額です。それが13年間続けば合計409.5万円の減税が受けられることになります。 ■返済が進むと減税額が減る 利用できればお得な住宅ローン減税ですが、実は誤解している人が少なくありません。 ここで3つ、注意点を挙げておきましょう。 1つ目は、この0.7%は、年末のローンの残高に対してかけられるという点です。 初年度の年末は4500万円ぴったりあったとしても、返済が進んで翌年の年末ローン残高が4400万円になっていたら、その年に受けられる最大の減税額は30.8万円(4400万円×0.7%)になります。
■税金の支払いが少ない人には意味がない 2つ目の注意点は、あくまで減税なので、自分が通常支払うであろう所得税や住民税以上には恩恵がないという点です。 例えば、独身で年収400万円の人の所得税は約8.5万円、住民税は約18万円です。 合計しても約26万円のため、これ以上の減税をしようがありません。 大きな金額のローンを借りることができたとしても(そもそも年収400万円の場合、4500万円のローンを借りることは通常できません)、年間最大の31.5万円の減税は受けられません。 ちなみに、住民税からの控除にも上限が定められていて、2024年入居のケースだと9.75万円。今回例に挙げた人が最大限の住宅ローン減税を受けられたとしても、所得税から約8.5万円と住民税から9.75万円の合計約18.25万円が減税を受けられる最大の額となります。 ■減税の上限額は物件の性能によって異なる 3つ目は、4500万円と例示した上限額は、購入する物件の性能によって異なるという点です。 4500万円を上限とするのは、新築の長期優良住宅や低炭素住宅です。ZEH水準省エネ住宅では3500万円、省エネ基準適合住宅では3000万円、その他の住宅では2023年までに建築確認された物件では2000万円ですが、そうでなければ限度額は0円と減税を受けることができません。