21世紀枠、春夏通じて初…開幕を前に盛り上がる出場校の地元 甲子園交流試合
10日から阪神甲子園球場で開かれる「2020年甲子園高校野球交流試合」(日本高校野球連盟主催、毎日新聞社、朝日新聞社後援)を控え、3月の第92回選抜高校野球大会で「春夏通じて初の甲子園」をつかんだ高校の地元などで熱気が高まっている。中止となった第92回大会も記録上出場回数にカウントされるが、センバツ交流試合では実際に夢舞台に立つ選手たちが見られるとあって、活躍への期待も最高潮だ。 【この試合に懸ける 投打の注目選手】 ◇監督の名を冠した応援団が盛り上げ 春夏通じて初の鹿児島城西(鹿児島)。学校がある鹿児島県日置(ひおき)市では、「甲子園出場おめでとう‼」と書かれたのぼり旗があちこちに掲げられ、応援ムードを盛り上げる。 センバツ出場決定をきっかけにチームの応援団「佐々木会」が発足。最初の活動として作ったのぼり旗だったが、中止が決まってお蔵入りに。ところが交流試合開催が決まり、青と黄色の生地に「頑張れ‼」の文字をあしらった旗が、学校の最寄りのJR伊集院駅や商店の店先などに翻ることになった。 会の名前は、プロ野球出身で2018年に就任した佐々木誠監督にちなみ、メンバーは20~50代の男女約20人。地元企業役員、鮮魚店主、ヨガインストラクター、市職員など幅広い人たちが集まった。同市内からは初めての甲子園出場とあって「地元の誇りだ」と応援に熱が入る。メンバーで養鶏業の川村宣裕さん(49)は「まちを挙げて応援しなければ」とテレビ中継を心待ちにする。会長で製茶会社経営の末永清美さん(45)は「コロナでまちが落ち込んでいる分、甲子園出場で元気をもらいたい」と語る。 ◇出場祝う黄色いのぼり旗が林立 学校周辺が再びチームカラーに染まったのは平田(島根)も同じ。駅やスーパー、道路沿いに「祝 甲子園出場平田高校野球部」と大書された黄色いのぼり旗が林立する。21世紀枠から春夏通じて初の甲子園出場決定を祝って、後援会が横断幕を含め計150本を用意したもの。センバツが中止となり、後援会長の山下壮一さん(75)らが自宅に持ち帰り、洗濯して大切に保管していた。 山下さんは「(再設置の際に)のぼりの数を追加した。協力を申し出てくれる方も多く、平田高への愛を確認できた」と顔をほころばせる。このほか、選手御用達のラーメン店やスポーツショップも立て看板などで応援。保科陽太(ひなた)主将(3年)は「地域の方々からたくさん応援してもらっていることを実感する。甲子園で元気なプレーをすることで平田を盛り上げ、感謝を伝えたい」と意気込む。 ◇同じ農業高校が横断幕贈り激励 春は初、1982年の夏以来となる帯広農(北海道)の応援には、道内の農業高校や農業関連学科のある高校30校が団結。「帯農頑張れ! 北海道農業高校30校の仲間が応援しています」と記された横断幕を贈り、「農業王国の代表」を激励する。 道高校長協会農業部会が企画。また、日本学校農業クラブ連盟(FFJ)の歌のメロディーを岩見沢農、旭川農、美幌、別海の4校の吹奏楽部がそれぞれ録音し、合成した合奏作品を制作。各校の生徒会長が寄せ書きしたメッセージボードも作った。部会長の鎌田一宏・岩見沢農校長は「同じ農業高校の仲間が連帯して応援することで、農業を学ぶ生徒たちの熱い思いを全国に伝えたい」と力を込める。期待するのは、同じく出場校唯一の農業高校だった秋田県立金足農が18年の夏の甲子園で起こした旋風の再現だ。 横断幕を受け取った帯広農の前田康晴監督は「道内の農業高校は一緒に活動することも多く、ワンチームという雰囲気。激励はうれしく、勇気づけられる。農業現場に明るい話題を発信したい」。井村塁主将(3年)も「応援が本当に身近に感じられる。道内はもちろん、全国の農業高校の代表として頑張りたい」と気合を入れた。【白川徹、小坂春乃、鈴木斉】