ゆがめられる民意…台湾狙う“世論工作”のリアル 中国「統一戦略」の実態は
■台湾の人々の選択を守る――試される国際社会
24年1月に迫った台湾総統選挙は、中国との関係が大きな争点だ。与党・民進党の頼清徳氏は、中国と距離を置き対米関係を重視する。最大野党・国民党の侯友宜氏、第3政党の民衆党・柯文哲氏は、中国との対話を訴えている。対中姿勢に違いはあるが、3候補とも台湾の住民の多くが望む「現状維持」を掲げている。 冒頭の「格安ツアー」といった世論工作が与える影響は、実はそれほど大きくないとされている。多種多様な非軍事手段を使い、統一を迫る中国のやり方に、台湾の人々は学び続けてきたからだ。 ツアーから戻った台湾の若者に感想を聞いた。 「中国で訪れた地域は確かに魅力があると感じたけれど、誰かの意図により、自分の政治的立場を変えることはそんなに簡単ではないよ」 彼らが選択する台湾の未来像を、一方的な圧力や情報操作でゆがめられることがないよう、国際社会はしっかりと見守っていく必要がある。