ネタニヤフにICC逮捕状 国際社会は「西側の指導者」を拘束できるか?
オランダのハーグにある国際刑事裁判所(ICC)は11月21日、パレスチナ自治区ガザでの戦闘をめぐり戦争犯罪に関与した疑いがあるとして、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とヨアブ・ガラント前国防相、ハマスの軍事部門トップのムハマド・ディフ司令官に逮捕状を出した。 【画像】イランに登場したネタニヤフの「お尋ね者」ポスター ICCはネタニヤフとガラントについては、ガザへの食料や水、医薬品の供給を阻んだことで、「戦争の武器として飢餓を利用した」と非難。2023年10月7日のイスラエル襲撃を首謀したディフについては、市民の殺害や拷問、性暴行などの人道に対する犯罪を追及するとしている。
日本を含むICC加盟国には逮捕する義務がある
逮捕状発行を受けて、イスラエル首相府は「反ユダヤ主義的だ」と反発。イスラエル最大の同盟国である米国のジョー・バイデン大統領も、ICCの決定を「言語道断だ」と批判した。 一方、ハマスはネタニヤフとガラントへの逮捕状を「正義への重要な一歩だ」と歓迎したが、ディフには触れなかった。 ICCには現在、日本を含む120ヵ国以上が加盟しているが、米国やロシア、中国、そしてイスラエルは加盟していない。 加盟国は、逮捕状が出されている人物が自国領内に入った場合、その身柄を拘束してICCに引き渡す義務を負う。そのためネタニヤフは今後、ICC加盟国への渡航を控えるようになるとみられる。 とはいえ、ICCにはその義務の履行を強制する権限はなく、最終的には加盟各国の判断になると、米紙「ニューヨーク・タイムズ」は報じている。 現に、ウクライナとの戦争で逮捕状が出されたロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、この9月にICC加盟国であるモンゴルを訪問したが、逮捕されなかった。
Courrier Japon