「大変やで、怒る人間がゼロやったら」阪神・岡田彰布前監督、ボヤキの後に明かした真意
あっけなく終わった。CS第1ステージでDeNAに連敗。第2戦は2ケタ失点で幕を下ろした。退任した岡田彰布監督(67)の最後の会見も、あまりにもあっけない総括から始まった。「ひどいな、え? 最後の最後に」。そこから各選手への苦言の連続。「同じことばっかりやったわ、最後まで」。ただ一人、森下の活躍に苦笑いした。 「言うたやつだけやろ? 野放しにしたら、全然やもんな。大変やで、怒る人間がゼロやったら」 6月に直接指導も行った大砲。言葉足らずだが、決して自身の言う通りにしたから成功したと言いたかったわけではない。森下も一から十まで教えを貫いたわけでもない。考え、行動するきっかけが変化につながった。これが真意だろう。 岡田監督も悩み続けた。8月末の横浜。DeNAに敗れ、歩きながら取材に対応した。一通りのボヤキが終了。立ち去ろうとする記者に突然つぶやいた。 「言うて分からんことは、言い続けなあかんと思うで。それが教育やと思うけどな、俺は」 変化が見られないナインとコーチ陣の“遠慮”に首をかしげた。指揮官の指導は、基本的にコーチ経由。口酸っぱく言う。コーチも選手に伝える。だが、2度も3度も言いたくない。でも、変わらなければ意味がない。その難しい距離感を嘆いた。この試合、昨季から欠かさなかった野手ミーティングを中止。伝わらないのなら、無駄―。そんなメッセージにも感じられた。 それから短期間、岡田監督が選手と直接話す姿が少し増えた。そして、再びやめた。どこまで言うべきか。どの社会にもある悩み。球界最年長監督も揺れたが、答えは「大変やで、怒る人間がゼロやったら」。絶対的なチームリーダーは不在。首脳陣も入れ替わる新チームの“汚れ役”は誰か。そんな疑問を抱かされる最後の「岡田語録」だった。(阪神担当・安藤 理)
報知新聞社