秋田の農家ら熱い応援 金足農高 甲子園初戦で涙
最終回猛攻もあと一歩
第106回全国高校野球選手権大会に出場した金足農業高校(秋田)は9日、西日本短大付属高校(福岡)と対戦し、4―6で敗れ、初戦で涙をのんだ。金農は9回に3連続安打や犠飛などで一挙4点を奪い、粘りを見せたが、あと一歩及ばなかった。金農の雄姿を見ようと、一塁側のアルプス席には秋田から農業関係者らが駆け付け、一投一打に熱視線を送った。 「いまだ、踏ん張れ、回れ回れ」 最終回の怒濤(どとう)の追い上げに、アルプス席から声をからし応援したのは、秋田県三種町の水稲農家、大山等さん(57)だ。 思い出すのは、40年前に吹いた“1度目”の「金農旋風」の記憶だ。第66回大会(1984年)で金農は、夏の甲子園初出場ながらベスト4に進出。大山さんは、「2番・三塁」として活躍した。 初戦で強豪に勝利すると、一気に波に乗った。準決勝は前年の覇者、PL学園高校(大阪)。大山さんは初回、プロ野球でも活躍した桑田真澄さん(56)を強襲する内野安打で出塁し、その後、先制のホームを踏んだ。試合は2―3で惜敗したが「桑田からヒットを打った農家は俺しかいない」と懐かしむ。 金農で6年間コーチを務めた大山さんの教え子が、吉田大輝投手(2年)の父・正樹さん(48)。その縁もあり、7回9安打5失点とエースの投球はできなかった大輝投手にも熱い視線を送った。 「最後までよく粘った。金農の雑草魂を見せてくれた、いい試合だった」と、拍手の手を止めなかった。 高橋佳佑主将は試合終了後、涙を浮かべながら「これまで農業高校らしく泥臭くやってきた。最終回に粘りを見せられた。全国の農業関係者に9回のプレーで勇気を与えられれば」と話した。
日本農業新聞