【特集「乗るなら今だ!心昂る、V8エンジン」⑦】灯はまだ消えない。最新V8エンジン搭載車アルバム
技術革新がV8エンジン存続の可能性を左右する
ここでは過去1年以内に日本で発売、またはワールドプレミアされたV8エンジン車をご紹介。V8エンジンは電動化や新たな技術を用いることで年々厳しくなる環境規制に対応することで各ブランドのフラッグシップエンジンやスポーツモデル向けとして生き残りを図っている。 【写真はこちら】環境に優しいeフューエルの実用化という新たな可能性もおぼろげながら出てきた(全13枚) 一時はメーカーのBEVへの注力ぶりや年々厳しくなる環境規制により、存続が危ぶまれていた大排気量車。だが、ここに来て少し風向きが変わったようだ。 それは最近の欧州のプレミアムブランドの動きからも感じ取れる。従来どおりBEVを筆頭に電動化モデルの開発に力を入れているものの、その一方で相次いで新しいV8エンジン搭載車をリリースしているのだ。 直近ではアストンマーティンが新型ヴァンテージを、メルセデスAMGは第2世代となるGTを欧州で発表。どちらも4L V8ツインターボエンジンを搭載する。 ただし、欧州プレミアムブランドは闇雲にV8エンジン搭載車をリリースしているだけではない点が興味深いところ。とくにドイツブランドが新たに市場に送り出したV8エンジン搭載車の多くは、モーターやスタータージェネレーターを組み合わせて電動化を施し、環境や効率にも配慮した仕様にしているという共通点がある。 また、環境に優しいeフューエルの実用化という新たな可能性もおぼろげながら出てきた。V8をはじめとした大排気量エンジンの活路は細いながらも残されていて、しばらくは存続できそうだ。
V8搭載主要モデル 概説
■アストンマーティン ヴァンテージ 2024年2月発表。最高出力665ps(先代比+150ps)、最大トルク800Nm(先代比+115Nm)と、エンジンスペックは先代よりも大幅に強化。さらに50:50の前後重量バランスやインテグレーテッド・ビークル・ダイナミクス・コントロール(IVC)の採用などにより、0→60mph(97km/h)加速タイムはわずか3.4秒、最高速度は202mph(325km)を実現している。 ■メルセデスAMG SL 63 4マティック+ 7代目SLのトップグレード。パワーユニットはメルセデスAMGが完全自社開発した4L V8ツインターボエンジン「M177」で、9速AT(AMGスピードシフトMCT)が組み合わされる。最高出力585ps、最大トルク800Nmを受け止めるために駆動方式は4WDを採用している。0→100km/h加速タイムは3.6秒、最高速度は315km/hの圧倒的なパフォーマンスを誇る。 ■メルセデスAMG GLE 63 S 4マティック+/GLEクーペ 63 S 4マティック+ GLE クーペ 63 4マティック+。2023年11月にマイナーチェンジ。パワートレーンは4L V8ツインターボエンジン+9速AT、駆動方式は4WDだ。走行モードに「Offroad」を用意し、360°カメラを使い車体フロント部分下方の路面の映像を仮想的に映し出す「トランスペアレントボンネット」機能が追加されるなど、悪路走行を想定した性能も実は高いのだ。 ■メルセデスAMG GT SLと同じ「MSA」プラットフォームを持つ2代目GTクーペ。海外仕様は「63 4マティック+ クーペ」と「55 4マティック+ クーペ」の2グレードを用意。どちらも4L V8ツインターボエンジンを搭載するが、前者は585ps/800Nm、後者は476ps/700Nmとなる。日本での発売は2024年2月時点では未定だ。 ■アウディ SQ7/SQ8 2023年7月に日本で発売された、Q7/Q8のスポーツグレード。最高出力507ps、最大トルク770Nmを発生する4L V8ツインターボエンジンを搭載する。低負荷時には4つのシリンダーを休止させるシリンダーオンデマンド(cod)を採用し、走りの良さと高効率の両立が図られている。 ■BMW XM 4.4L V8ツインターボエンジン(最高出力489ps、最大トルク650Nm)に電気モーター(197ps)を組み合わせたPHEVで、システム全体では最高出力653ps、最大トルク800Nmを発生。電子制御ダンパーとアクティブロールスタビライザーを備えたアダプティブMサスペンションプロフェッショナルを採用するなどダイナミクス性能も高い。 ■BMW X6 M コンペティション/X5 M コンペティション X5、X6のトップモデル。2023年には一部改良され、最高出力625ps、最大トルク750Nmを発生するV8ツインターボ+モーターの48Vマイルドハイブリッドへと変更された。X5とX6には同じく4.4L V8ツインターボ+モーター(MHEV)の「M60i xDrive」 もあるが、こちらはシステム最高出力530ps、最大トルク750Nmとなる。 ■ポルシェ カイエン S E-ハイブリッド/カイエン S E-ハイブリッド クーペ カイエンのフラッグシップで、日本では2023年8月に日本受注が開始された。パワーユニットは4L V8ツインターボエンジン+モーターのPHEVで、システム全体で最高出力739ps、最大トルク950Nmを発生。0→100km/h加速タイムは3.7秒、最高速度は295km/hという高性能ぶりだ。さらに最大82kmのEV走行も可能で実用面も優秀。 ■フェラーリ ローマ スパイダー ラグジュアリースポーツ、ローマのオープン仕様。フェラーリとしては365GTS4以来、54年ぶりのソフトトップ採用車で、電動ルーフは60km/h以内なら13.5秒で展開する。クーペと同じ最高出力620ps、最大トルク760Nmを発生する3.9L V8ツインターボ+8速DCTを搭載する。 ■シボレー コルベット Z06 C8コルベットのハイパフォーマンスモデル。V8自然吸気エンジンを搭載し、排気量は5.5Lだが、標準車(6.2L)よりも強力な646ps/623Nmを発生。クランクシャフトはフラットプレーン、吸排気システムも専用チューニングすることで、サーキットでの速さを追求したモデルだ。
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