試合直前にまさかの逮捕。元名古屋FWジョーの“地に落ちた”現状「チームメイトもかなりショック」【現地発】
クラブ幹部は「何が起きたかを説明するのも難しい」
そしてついに5月6日に警察が動く。セリエB第3節、ジョーが所属するアマゾナス対ポンチ・プレタの試合直前だった。警察はスタジアムの前でチームのバスを待っていた。しかしバスからジョーは降りてこなかった。ジョーはカンピーナス市内のホテルからチームメイトと共にユニホームを着てバスに乗ったものの、なにか情報が入ったのか、途中で別の車に乗り換えたらしい。 結局、チーム幹部が居場所を明かし、ついに御用となった。ジョー自身は『訴えられたのを知っていたが、逮捕状が出ているのまでは知らなかった』と供述しているようだが、逃亡を試みたことで悪質であるとみなされ、ジョーは手錠までかけられて連行されたようだ。 ちなみに対ポンチ戦でジョーは先発出場するはずだったが、彼を欠いたからか、それとも仲間の逮捕がショックだったからかアマゾナスはポンチ・プレッタに0-3で完敗した。ジョーはそれまで6試合に出場し、1ゴールを決めていた。 試合前に逃亡したことに関してチームの関与も疑われたがアマゾナスの幹部ウィリアム・アレクサンドル氏は、自分たちは何も知らなかったと釈明する。 「我々は今回の出来事に非常に驚いており、何が起きたかを説明するのも難しいです。ジョーに何が起こっているのかを知ったのは皆スタジアムのバスから降りた時でした。チームメイトたちもかなりショックなようでした」 そして今後は、クラブの法務チームと一緒にこの題を解決していく予定だという。 「私たちは、ジョーをサポートしていきたいと思います。ただそれはジョーのしたことを正当化するのではなく、支払い問題が早急に解決できるようなサポートです。とにかく彼が長く刑務所に留まらないようにしたい」 刑務所で一晩を過ごし、冷や飯を食べた後、ジョーは釈放された。ただ彼が養育費に加えて滞納の罰金をすぐに耳をそろえて支払わなければ、もしくは次回の支払いも滞るようなら、再び拘留される可能性がある。どちらにしろジョーのイメージは最悪だ。すでに地に堕ちていたものが、今は地下にめり込んでいる。 2013年にはアトレティコ・ミネイロでリベルタドーレス杯を手に入れ、2014年にはセレソンでネイマールの横でブラジルW杯を戦った。日本では得点王にも輝いた。それらももう遠い昔だ。 文●リカルド・セティオン 翻訳●利根川晶子 【著者プロフィール】 リカルド・セティオン(Ricardo SETYON)/1963年8月29日生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。ジャーナリストとし中東戦争やユーゴスラビア紛争などを現地取材した後、社会学としてサッカーを研究。スポーツジャーナリストに転身する。8か国語を操る語学力を駆使し、世界中を飛び回って現場を取材。多数のメディアで活躍する。FIFAの広報担当なども務め、ジーコやカフー、ドゥンガなどとの親交も厚い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授として大学で教鞭も執っている。