長野県安曇野市の子育て中の女性らの団体スリー・タイニー・シーズが「田んぼのある暮らし」を実践 耕作放棄地を活用し無農薬・無化学肥料で米作り
長野県安曇野市を拠点に「田んぼのある暮らし」の広がりを目指す市民団体「Three tiny seeds」(スリー・タイニー・シーズ)が今年発足し、初めての米作りに取り組んでいる。メンバーの多くは子育て中の女性で、市内の耕作放棄地を活用して、無農薬・無化学肥料での栽培に汗を流している。 代表の小畠(こばたけ)千奈都さん(39)=豊科高家=は北佐久郡軽井沢町出身で、8年前に横浜から移住してきた。市内の農業塾で4年間、米作りを学ぶ一方、高齢化による担い手不足で耕作放棄地が増え、市民の多くが農業に全く関わっていない現実を知った。 「耕作放棄地を活用して、お米を作ってみよう」―。小畠さんの呼び掛けに友人らが賛同し、1月に15人で団体を立ち上げた。メンバーの金田里佳さん=穂高有明=は「小学6年生と3年生の子どもに田んぼと触れ合ってほしかった」と話す。 穂高柏原の5アールの農地を借り、6月9日に無農薬に適した2品種を手植えした。除草は「田打車(たうちぐるま)」という昔ながらの道具を使っている。あぜの草刈り、秋の収穫だけでなく、稲わら細工、周辺の植物を利用した草木染も予定している。 6日には自然農法の専門家を招き、一般参加者も募って「米作り実践講座」の2回目を開催した。約20人が実際に田んぼに入って、雑草と生育との関係について学んだ。 団体名は和訳すると「三つの小さな種」。「種の一つは鳥のために、一つは虫のために、一つは人間のために」という寓話から「地球で暮らす仲間との共生」に願いを込めて命名した。小畠さんは「交流を通して、田んぼのある暮らしをもっと身近なものにしていきたい」と話す。
市民タイムス