【選手権】世代を通じて底流に流れる帝京らしさ
年末年始の風物詩のひとつ。第103回全国高校サッカー選手権大会が今週末28日からいよいよ開幕。各代表チームは初戦にむけ、最終調整の段階に入った。そのなか、京都橘とオープニングマッチを行う東京B代表の帝京を取材した。この日、都内にあるグラウンドで行われた1時間半超のトレーニングは終始、リラックスムード。ボール回し、ミニゲームに汗を流した。 【フォトギャラリー】帝京 vs 國學院久我山 全国出場を決めてからの約1か月半をどのように過ごしたのか。主将のMF砂押大翔は「選手権に出場できた嬉しさがありながら、危機感をもって、ひとつの練習を無駄にしないよう心掛けた1か月半でした」と明かすとGK大川藍は「注目度が高いなか、気の緩みのようなものが感じられたので、キャプテンを中心に「もう一回、危機感もってやろうと」と引き締めた。プリンスリーグ関東で残留を決めての選手権。自分たちの見せられるサッカーをするだけです」と意気込みを語った。「選手権に出られたことが嬉しい周囲も喜んでくれたので、頑張るしかない」と話したDFラビーニ未蘭は「開幕戦を国立競技場でできることはなかなかないこと。出たら、勝ちたいですし。サイドバックなので、ゴールに関わるプレーをしたいです」と気持ちを高めている。 今回の帝京に必ずセットで登場する言葉が「15年ぶりの出場」。通算35回目の出場。うち6回の全国制覇。言わずと知れた強豪校。多くのプロを輩出し、Jリーグの黎明期を盛り上げるとともに時は流れ、いまでは指導者として日本サッカーを支えている。取材先で帝京OBに会うと久しぶりの出場をことのほか喜んでいた。こうしたOBだけでなく、長年の高校サッカーファンの期待は高く、SNSを通じ、その反応の大きさを選手たちは体感したはずだ。 しかし、その期待が過度なプレッシャーになっていないことが頼もしい。 「全国大会に連続出場している帝京にとらわれすぎず、新しい帝京を作れるメリットが僕らにはあります」(GK大川) 「15年ぶりの出場と注目されるなか、その注目を結果で示したいです。勝ち上がっていく気持ちで試合をしているので、変なプレッシャーにはなっていません」(MF細江真広) 現在在籍する選手でかつての帝京の強さを体感した選手はもちろんいない。だからといって過去は過去。いまはいまと分断しているわけでもない。 「楽しくプレーすることをベースにチームには強度が求められています」(MF砂押) 「楽しくプレーしているときが一番、良い感じでプレーできます。練習も良い雰囲気でできています」(MF細江) 世代に関係なく、確固たるエッセンスが帝京の底流に流れているかもしれない。 (文・写真=佐藤亮太)