長野県松本・双葉町公民館建設で住民・事業所結束 交流の拠点に
長野県松本市松南地区の双葉町町会が現地建て替えで新築した双葉町公民館が完成し、1月20日に利用が始まる。10年がかりで建設にこぎ着け、住民と事業所が率先して巨額の建設費を負担した。新たな公民館には住民たちの「先人たちの思いを大切にしたい」という特別な思いが込められている。 建設を計画した当初の総工費は6000万円を見込んだが、建築資材の高騰で9300万円まで跳ね上がった。建設が危ぶまれたが、町会365戸と双葉町に事業所を構える60事業所が負担金を出し、各種助成金を得て建設にたどり着いた。 1戸当たりの負担金は12万円と高額になったものの、反対する住人は一人もいなかったという。事業所も負担金を捻出し、500万円を出した事業所もあった。町会役員は「公民館建設への熱意は町会の歴史で育まれた」と話す。 長野県松本市の双葉町町会は昭和33(1958)年に発足した。町名の由来は「栴檀は双葉より芳し」。優れた人物は幼い頃から他と違って優れていることを示す故事で、いずれ双葉町内から優れた人物を輩出したいとの思いが込められているという。 旧公民館を建設した昭和36年当時は40戸ほどしかなかった。旧公民館の建設費用の1戸当たりの負担は大きく、初任給の3カ月分ほどだったという。できたばかりの町会だったため、地域コミュニティーを大切にしようという住民たちの協力で建てられた公民館だった。 完成した公民館は縁側のある民家風の建物で、鉄骨平屋224平方メートル。大小会議室と調理室を備える。敷地に井戸を備え、井戸水を利用したカフェを開いて住民が交流する計画もある。この井戸は業者が無償で掘った。公民館建設委員会の田中庄市委員長(81)は「双葉町の人たちが先人の思いを引き継いで建てた公民館。新たな交流拠点として大切にしていきたい」と話している。
市民タイムス