【ヴィクトリアM】爆発的な末脚で掴んだ単勝208.6倍の大波乱!GI初制覇の津村騎手「訳がわからなかった」
第19回ヴィクトリアマイル回顧
「すごい走り方をしたなぁ……」――テンハッピーローズのヴィクトリアマイル最終追い切りを見た時、筆者はこう思った。 【予想配信】春のマイル女王決定戦「ヴィクトリアM」をガチ予想!キャプテン渡辺の自腹で目指せ100万円! タイム的には決して悪くない。調教師が語るように調子は上向いているのは間違いないだろう。 だが、追い切りのVTRを見ると、首を上げながら坂路を駆け上がってくるテンハッピーローズの姿はお世辞にも走りに集中しているとはいえないもの。 基本的に競走馬は首を下げて走ることでトップスピードに乗るため、この走り方ではどうしてもスピードが出ない。にもかかわらず800mを走って55秒0という時計が出たというところに驚くほかなかった。 「もしかしたら、本当に調子がいいのだろうか?それとも……」レース直前まで悩まされることになった。 15頭のみという歴代最少のエントリー数となった今年のヴィクトリアマイル。昨年のマイルCSを制したナミュール、阪神牝馬Sを制して勢いに乗るマスクトディーヴァらが人気を争っているとはいえ、例年と比べるとやや小粒なメンバー構成になったことは否めない。 それだけにどの馬にも勝つチャンスがある混戦模様というのが今年のヴィクトリアマイルの下馬評だった。 曇り空の中で迎えたパドック。人気を分け合ったナミュール、マスクトディーヴァらがさすがといわんばかりの堂々たる周回を見せていたが、それに負けず劣らずの闊歩を見せたのが、これがGⅠ初挑戦となったテンハッピーローズだった。 曇り空の中でも栗毛の馬体は輝き、左後ろにある黒い斑点もどこかキュートに見えるほど。調教でのタイム、そして陣営の自信にあふれたコメントはこの馬の好調ぶりを裏付けるものだったのだろう。 だが……そうはいってもテンハッピーローズはこれがGⅠ初挑戦で重賞も勝ったことがない。 全5勝中、左回りで3勝を挙げるなどの適性の高さはあるが、マイル戦はここまで勝ったことすらなく、前走の阪神牝馬Sでは特に見せ場を作ることはできず6着と馬券を買う上での強調材料は少なめ。 そのためファンも信頼しきれなかったか、単勝208.6倍、15頭中14番人気という低評価にとどまった。