西武・秋山の200安打はこんなにハイレベル
そして最もすばらしい特長が「固め打ちが多いうえに大きなスランプもない」という点だ。表5は過去の200安打達成者の猛打賞(1試合3安打以上)の試合数と、ノーヒットに終わった試合数の一覧。 表6はそれぞれの選手の月間打率をまとめたものである。表5からお分かりいただけるように、秋山は今シーズンすでに26回の猛打賞を記録している。これは西岡の持つ27回の日本記録に迫る好記録。その一方で無安打に終わったのは22試合だけで、これはイチローの13試合に次ぐ少なさだ。
歴代屈指の固め打ちの多さに加えて、無安打の試合は少ないという理想的なシーズンを過ごしているのだ。そしてその結果、月間打率も非常に安定したものになっていて、8月までのすべての月で月間3割以上を記録している。過去の6人のうちすべての月で3割以上を打ったのはイチローとラミレスの2人だけ。秋山は9月の打率が.260。残り試合で月間3割に乗せることができれば3人目の快挙となる。
ここまでで紹介したように、今シーズンの秋山の記録は非常に優秀なものである。200安打を達成しながら、長打も打ち、四球でも出塁する。さらに調子の波は少なく、固め打ちをすることも多い。これはまさに理想の1番打者の打者像だといえるだろう。 ただ、これだけの成績を残しても首位打者を逃す可能性があるのだ。ソフトバンク柳田との首位打者争いは.360を超える2人で争うという、プロ野球の歴史上でもまれな高レベルなものになっている。200安打を達成しながら首位打者を逃したのは2007年のラミレスと、200安打の選手が2人いた2010年のマートンだけ。 果たして秋山はタイトルを獲得できるのか?それとも無冠の最強1番打者となってしまうのか?こちらの行方にも注目をしたい。 (株)日刊編集センター