池上季実子、今も抱える新型コロナの後遺症。映画の撮影は酸素ボンベ持参、初ミュージカルも控え…「いただいた命なんだから何でもやるのよ」
撮影本番以外は酸素ボンベを使用して
2022年4月末に退院した池上さんは、岡山県美作市で映画『風の奏の君へ』のロケに参加。茶葉屋を営む兄の淳也(山村隆太)と浪人生の弟・渓哉(杉野遥亮)の元に突然淳也の元恋人でピアニストの里香(松下奈緒)が現れ、渓哉は彼女に淡い恋心を抱くが、この微妙な三角関係にはタイムリミットが…という展開。池上さんは淳也と渓哉の祖母・初枝役を演じた。 「この映画は2020年の5月に撮影するはずでしたが、コロナで延期になって。あらためて2024年撮影のスケジュールが具体的に決まって退院の目標ができました。神さまが『これをあげるから元気になりなさい』って言ってくれている気がしてリハビリに励みました。 衣装合わせのときには酸素ボンベが放せない状態でしたから、それを見てみんなビックリしていて。最初はスタッフが『そんな病気だった人を撮影で岡山まで連れて行って何かあったらどうするんだ?』って、プロデューサーがすごく責められたみたいです。 みんな心配してくださっているってわかったから、衣装合わせのときにスタッフを集めていただいて、元気な姿をお見せして納得していただきました」 ――撮影はいかがでした? 「酸素ボンベを持参して、本番が終わると酸素を吸って…みたいな感じでした。退院したてでまだ体力もついていないから、本当にちょっとそこまで歩くにしても、休んでからまた動くという感じで」 ――映画を拝見させていただきましたが、初の老け役ということで、髪の毛を6回もブリーチしたとか。 「せっかくブリーチしたので、まだ残していてちょっと紫色にして遊んでいます(笑)。美容師さんが『6回もブリーチしたら、普通はこんなもんじゃすまない。ポロポロ、ポロポロ、切れてきちゃう』って言っていました。私はおかげさまで大丈夫だった。これは親に感謝ですね」 ――包容力があって芯の通ったステキなおばあちゃんでした。 「ありがとうございます。すべてを受け止めるというか、わかっているおばあちゃんでね。あの3人が主役だから、あまり邪魔してもいけないし。 かといって、やっぱり長男がおばあちゃんを放っとけないからって、地元に帰ってきて茶葉屋を継ぐことにしたと思えるようなおばあちゃんじゃなきゃいけないし…という、その辺の兼ね合いをさりげなく出せたらなと思ってやっていました」 ――すぐには池上さんだとわからなかったです。 「良かったです。地元の皆さんも最初はわからなかったみたいです(笑)」 ――出来上がった作品をご覧になっていかがでした? 「良い作品だなって思いました。茶かぶき(一度飲んだお茶の味を記憶して、あとで飲んだお茶の中からそのお茶がどのお茶なのかを当てること)のシーンもおもしろかったし、渓哉(杉野遥亮)が里香(松下奈緒)さんにお煎茶を出してあげるシーンも良かった。さりげなくお煎茶を入れる作法をちゃんとやっていて。 この子はおばあちゃんと一緒に住んでいて、おばあちゃんからこれを自然に学んで覚えたのをやっているんだなっていうことがわかるような撮り方だったんですよね。また杉野くんがいいじゃない?」 ――お兄ちゃんも、このおばあちゃんだから戻ってきて茶葉屋を継ぐことにしたんだなって納得でした。 「そう思っていただけたらうれしいですね。今の過疎化の問題もさりげなく出しているし、日本のお茶というものは、本来こうやって飲むものなんだということもわかってもらえると思いますし。 私は京都から東京に出てきて驚いたのは、京都というのは普段ほうじ茶なんですよ。それで、お客さまがみえると煎茶なの。ところが東京はどこに行っても煎茶。本来はお客さまに出すものだったから、すごく不思議でしたけど、本来煎茶はこうやって飲むんだということが描かれているのはいいですね」 ――実生活でもああいう作法で飲んでいらっしゃいます? 「煎茶はね。全然旨味が違うんですよ。あそこまで丁寧じゃないにしても、これから飲もうというお茶碗に1回お湯を入れて、お湯が少し冷めたぐらいになってからお茶っ葉を入れた急須に入れて、それで入れるとお茶の味が全然違うの。お茶の旨味がちゃんと出ていて。 だから、ああいうのを何気なく若い子が見て吸収してくれるといいなって思いますね。本当はお茶ってこうやって飲むんだよって、知ってくれるとうれしい。やっぱり日本人の良さというものは、受け継いでいってほしいなと思いますよね」
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