氷見の武器は結束力 合言葉は「市民を甲子園に」 センバツ出場校紹介
氷見(富山)は2010年の再編統合前の旧氷見時代、1965年夏と93年春の2回甲子園に出場しているが、統合後は初出場となる。昨夏の富山大会決勝は九回2死まで1点リードしながら、逆転負けで惜しくも甲子園を逃した。前チームから試合に出ていた選手たちを中心に、悔しさを成長につなげた。昨秋の富山大会は強豪校を破って30年ぶりの優勝。北信越大会も粘り強く戦ってベスト8に入り、富山勢初の21世紀枠で甲子園への切符をつかんだ。
180センチの二刀流、青野が要
昨夏の富山大会の悔しさを糧に17人でスタートした新チームは、秋季富山県大会で準々決勝まですべてコールド勝ち。決勝でも持ち前のチームワークで相手を圧倒して優勝した。北信越大会では1勝して8強入りを果たした。 チームの投打の中心は青野拓海投手(2年)。180センチの長身から投げ込む最速143キロの速球に加え、キレのあるスライダー、カーブ、スプリットなど多彩な変化球を持つ。元々は捕手だったが、チーム事情で投手に転向すると、球速はみるみるアップして頭角を現した。スタミナが課題だったが、厳しい練習を乗り越え、秋の北信越大会の遊学館(石川)戦では延長十二回、192球を投げ抜いた。打撃面でも長打力があり、クリーンアップを任されている。
17人のうち16人が地元中学出身
打線の中心はその青野と主将の大澤祥吾(2年)。青野は高校通算18本塁打と長打力があり、4番の大澤はミート力に優れている。北信越大会の遊学館戦で決勝2ランを放った正水海成も「当たればチーム一」というパワーがある。選球眼が良く、出塁率の高い伊尾海遼が上位でチャンスメークすれば、得点力は高まる。 チーム打率は3割2分2厘。昨秋の富山大会では初戦から準々決勝まで10点差以上をつけた攻撃力で勝ち進んだ。終盤まで接戦となった決勝も、最後に打線がつながって勝ちきった。
学校の統合により、現在は氷見市内唯一の高校となった。チームの特徴は強固な結束力だ。17人のうち16人が地元の中学出身で、少年野球時代から一緒に白球を追いかけてきた。市外の高校から誘いを受けた選手もいたが、「氷見市民を甲子園へ」を合言葉にそろって氷見高に進学。互いに高め合いながらあこがれの甲子園を目指してきた。 村井実監督は「選ばれたからには、甲子園に出場するだけでなく甲子園で活躍できるチームを目指したい」と、選手たちの晴れ舞台を心待ちにしている。
男子ハンドボールは全国強豪
2010年、富山県氷見市内の旧氷見(1927年開校)と有磯(1919年開校)の県立2高が再編統合して誕生した。普通▽農業科学▽海洋科学▽ビジネス▽生活福祉――の5学科がある。「未来講座HIMI学」など地域と連携した授業が特徴。 硬式野球部の部員は17人と少数ながら、ほとんどが地元出身で結束は固い。前任の砺波工の監督時代に夏の甲子園出場経験があり、2019年に就任した村井監督の指導でめきめきと力を付けてきた。男子ハンドボール部も全国レベルの強豪だ。