「6次化商品」で農家の収入増 産地維持へJAふくおか八女
福岡県のJAふくおか八女は、県内一の6次産業化商品の開発と販売で、生産者手取りの増加と産地維持に努めている。特産の八女茶やイチゴ「博多あまおう」を中心に、自前の加工場で1次加工し全国へ販路を広げる。原料調達や商品開発で管外の事業者やJAと連携するのも特徴だ。 ブランドミカン「華たちばな」を使ったドレッシング「ミカドレ」 JAの加工品売上高は15億円超。アイテム数は八女茶関連で70点、他の農産加工品で60点と、全国でもまれな規模だ。タケノコの水煮やミカンの缶詰から始まり、近年はティーバッグ「恋する八女茶」や焼き菓子「恋するラングドシャ」がヒットしている。 包装までできる三つの加工場を持つのが強みだ。産地が縮小する中でも雇用を維持するため、中晩かんや栗など九州の他産地からも原料を仕入れ、生産量を確保している。
製造委託は小ロットで
商品は総合販売部の農産加工、茶業、販売企画の各課が個別に企画。月1回の営業担当会議で情報共有し、開発や販売で連携する。 「菓子など製造委託は小ロットから受ける企業を探す」(販売企画課・丸林元係長)ことで、既存品を維持しながら新商品を作る。 2017年には熊本県のJA阿蘇と、全国でも珍しいJA間コラボレーション商品を開発。双方の特産品(八女茶・あまおう、阿蘇小国ジャージー牛乳)を使う冷凍ロールケーキは、年5000本が売れる。 23年には急速冷凍機を導入。需要の高い冷凍果実の製造を強化した。「加工品を開発することで、生産者段階で選別されていた分も活用でき、所得増につながる」と農産加工課の石橋勇一郎係長。今後は房落ちしたブドウなどを集め、人気の小売り向け冷凍果実にしたいと構想する。
商品開発で地域と連携
部会による地域と連携した商品開発もある。JAかんきつ部会は6月下旬、ブランドミカン「華たちばな」を使ったドレッシング「ミカドレ」(210ミリリットル、600円)を道の駅たちばな(八女市)で発売した。21年、部会青年部が「『華たちばな』をPRする加工品を作りたい」と加工場を持つ道の駅に相談。道の駅は県立八女農業高校に開発を依頼した。 試作品は今年完成。果汁重量が4割以上と、ミカンの甘さと香りを楽しめる。JA選果場から原料用ミカンを道の駅に運び、初回分100本を生産した。 部会青年部の鵜木倫紀部長は「一押しのブランドミカンの甘さを楽しんでほしい」とPRする。
日本農業新聞