本当は怖い『機動警察パトレイバー』 市民殺害に人身売買…「だいたい内海が悪い」
主人公が嘔吐した悪逆非道な犯罪
メディアミックス作品『機動警察パトレイバー』は、シリアスな劇場版の一方で、マンガやOVAでは特車二課第二小隊の、サークルのようなドタバタが印象的に描かれており、「楽しい作品」ととらえている方も少なくないかもしれません。 【画像】え…マジで? こちらが「子供の人身売買」をテーマにした意外なアニメ作品です(4枚) しかし、『パトレイバー』には心底ぞっとするエピソードや場面がいくつも描かれていました。 ●不倫カップルの殺害 ゆうきまさみ先生によるマンガ版では、第二小隊の敵として「シャフトエンタープライズ」の「内海」課長と企画7課の暗躍が描かれます。 内海の提案で企画7課が開発してきたレイバー「グリフォン」と、シャフトエンタープライズUSAの新鋭機「M5」を戦わせる際、現場に迷い込んできたカップルがこれらを目撃してしまったため、あっさりと殺害されてしまいました。 現場にいたのは企画7課の「黒崎」とUSA社の人間、「シャフトセキュリティサービス」の警備員で、心中に偽装した手口や現場の人間が誰も動揺していなかったことなどから、いつもこのように邪魔者を殺害してきたと推測できます。また、黒崎もこのようなやり口に抵抗はいっさい感じていないようでした。 なお、殺された男女は交際していた形跡がなかったので、どうやら不倫カップルだったようです。 ●人身売買組織「パレット」 マンガ版には人身売買組織「パレット」が登場します。おもに子供を売買する組織で、内海は顧客として名を連ねていました。 パレットの人身売買用カタログには、まだ7歳の女児や6歳の男児の全裸の写真が登録されており、捜査をしていた「香貫花・クランシー」は「性倒錯者の愛玩物」「チャイルド・ポルノの被写体」「移植用臓器のパーツ取り」などと説明しています。また、用済みとなった子供のほとんどは殺害されているようです。カタログを見た「泉野明」が嘔吐するほど邪悪なものでした。 内海はグリフォンのパイロットとして「バド」を「購入」しており、さらにパレットの「上得意」と説明されていたので、ほかにも購入した子供がいるのかもしれません。 いつも笑っているような表情で愉快犯的に行動する内海はファンの多いキャラクターですが、倫理観が完全に壊れた悪役であり、現在、社会を騒がせている愉快犯的な悪党の先駆けともいえるでしょう。 ●自衛隊の隠蔽工作 『機動警察パトレイバー ON TELEVISION』第5話には、劇場版第1作で登場した試作戦闘用レイバー「HAL-X10」が再登場します。無人での運用が目的で製造されていたX10は、その試験中にプログラムが暴走してしまいました。 自衛隊の司令官は、市民を殺傷する可能性があるX10を極秘のうちに処理しようとします。尻拭いの役割がまわってきた第二小隊は、理由も聞かされずに御殿場へ出動し、所轄の警察がウソの理由で道路を封鎖しているのを見て、自衛隊と警察の上層部が隠蔽工作を行っていると察しました。第二小隊は無事にイングラムでX10の活動を停止させたものの、後味の悪い事件でした。 OVAや劇場版第2作でも自衛隊の出動が描かれていますが、いずれもテロリストの陰謀によるものだったのに対して、このエピソードは自衛隊が主体的に隠蔽工作を行っています。リアリティがあるだけに、ゾッとするエピソードが多いのが『パトレイバー』という作品なのです。
大山くまお