エヌビディアCEO夫妻、寄付続けていれば慈善事業界に巨額の含み益
(ブルームバーグ): ここ2年ほどのエヌビディア株急伸は、理論上、慈善事業界に大金をもたらした。米半導体大手で6月に一時的に時価総額世界一になった同社のジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)とロリ夫人が寄付を続けていたとすればの話だ。
夫妻は20年近く前から毎年寄付を継続。ジェンスン&ロリ・フアン財団は2022年末までにエヌビディア株6900万株を保有していたことが、公的な税務申告で明らかになっている。
財団組織の投資実績を追跡調査するファウンデーションマークを始めたジョン・サイツ氏によれば、エヌビディアの株価急上昇により、フアン財団が持っていたとされる株式の価値は80億ドル(約1兆2900億円)を超えるという。
また、チャールズ・シュワブが運営する慈善団体がさらに44億ドル相当のエヌビディア株を管理しており、少なくともその一部はフアン夫妻とフアン財団のためのドナー・アドバイズド・ファンド(DAF)に保管されていることが文書で示されている。
これらの金額は、フアン財団が報告した寄付額を大きく上回っている。
同財団は07年の設立から22年までにスタンフォード大学とオレゴン州立大学をはじめとする外部の非営利団体に約6500万ドルを寄付または寄付すると約束。また、シュワブ・チャリタブル・ファンドでフアン夫妻が設けたDAF口座「GeForceファンド」に主にエヌビディア株という形で約1億2500万ドルも寄付している。
こうした「ギブ・アンド・ホールド」という手法で、夫妻は慈善活動を支援するための資産プールを確保。現在では米民間財団トップ20にランクインしている。
フアン財団は「サンフランシスコのベイエリアにある地元のコミュニティー団体と共に全米の高等教育や公衆衛生、STEM(科学・技術・工学・数学)教育イニシアチブを支援している」と説明。フアン夫妻の広報担当は、財団の活動に関しそれ以上コメントしなかった。