菅野智之のメジャー表明は「代理人のシナリオ通り」に動いただけでも…“不退転の決意”のウラに“原家”からの自立
ベテラン投手は年数を短く年俸を高く
そして同代理人は「我々もこうした手を使ったことがあり、この世界では常套手段と言えます。その時は(顧客だった)選手に事前に報道が出ることを伝えていました」と語り、今回の菅野のケースも同様だったのではないかとみている。 「菅野は記事に呼応したかのように、すぐにメジャーを目指すことを公言しました。チームは優勝が決まり、CSまで間隔が空いていただけに、影響は最小限に抑えられる。全体練習で取材の場があることも織り込み済みだったでしょう。いずれにしてもメジャー球団への周知は十分なものになりました」 菅野は35歳で来季開幕を迎える。ベテラン投手に絞って過去のFA市場を振り返ると、昨オフは39歳だったジャスティン・バーランダー投手がウインターミーティング初日に、メッツと2年総額8670万ドル(約119億円)で合意した。21年オフには37歳だったマックス・シャーザー投手が11月29日にメッツと3年総額1億3000万ドル(約148億円=レートはいずれも当時)で、こちらも早々と合意に達した。年数が長くない分、年俸を高めにした契約が特徴的だ。 「菅野は2年か3年の契約で、年平均20億円程度なら御の字です。プレーや生活といった環境面を重視し、年俸は譲歩すべきところは譲歩するのではないでしょうか」(前出の代理人)
初めて自分の意思で進路決断か
金銭面への妥協姿勢は裏を返せば、菅野のメジャー移籍に懸ける「不退転の決意」の表れか。 「ポスティング移籍を目指した20年オフはコロナ禍だったため、162試合のレギュラーシーズンやキャンプの開催が危ぶまれていました。菅野は不透明な状況を敬遠し、最終的には移籍を諦めました。ただ、今回は年齢的にも体の状態的にもラストチャンスですから、是が非でもアメリカに行くでしょう。プロ人生で初めて自分の意思で、自分の進路を決めようとしているのかもしれません」(巨人の球団関係者) プロ入り時はドラフト会議で日本ハムが巨人と競合した1位指名権を抽選で得たものの、菅野の母校・東海大野球部顧問であり、母方の祖父だった原貢氏の意向が働き、1年回り道しての巨人入団となった。20年オフにポスティング移籍を断念した時の巨人監督は、菅野の母の兄である原辰徳氏だった。たとえ監督としてメジャー行きで背中を押されたとしても、エースである自分が抜けることで戦力ダウンするチームで指揮を執る伯父への忖度や配慮は皆無だったと言えるだろうか。