豊かな老後のために、60歳から手堅く資産を増やすノウハウ
「60歳から投資を始めるなんて遅い」という意識が多くの人の中にあるようです。しかし60歳で定年を迎え、90歳まで生きるとしたら30年間あります。30年かけて預貯金を取り崩していく場合、インフレの時代、額面の減り以上に目減りしていくことを意味します。こうしたインフレから資産を守るためにも、投資・資産運用は必須の時代を迎えています。「60歳から投資を始めるのは遅い」ということは決してない、と人気マネーコンサルタントの頼藤太希さんはいいます。頼藤さんの著書『60歳からの新・投資術』(青春出版社)から、60歳から手堅く増やすノウハウを紹介します。 【投資で資産をいくらに増やせる?】 ● 結局のところ、老後資金はいくらあったら安心か? 2022年の生命保険文化センターの調査によると、老後生活について「不安感あり」とした人の割合は82.2%にのぼります。 さらに、その不安のトップは「公的年金だけでは不十分」(79.4%)です。その他にも、「自助努力による準備が不足する」(36.3%)、「退職金や企業年金だけでは不十分」(31.4%)など、お金に関する不安がずらりと並んでいます。 確かに、お金が底をついて生活が成り立たなくなるようでは怖いですよね。では、老後資金はいくらあったら安心できるのでしょうか。
以前大きな話題になったのが、いわゆる「老後資金2000万円不足問題」です。2019年6月に金融庁の市場ワーキング・グループが公表した「高齢社会における資産形成・管理」という報告書に「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦無職世帯」では収入と支出の差が約5.5万円あるので、老後の人生が20~30年だとすれば、「不足額の総額は単純計算で1300万~2000万円になる」と大きく報じられたのです。 老後不安を過度に煽られた形になりましたが、真実は、その報告書にあった世帯は、取り崩せる資産があるので約5.5万円を生活に充てていたというだけなのです。資産が少ないのであれば、支出を抑えるでしょうから、年金収入だけで生活できないわけではありません。 年金で暮らそうと思えば、意外と暮らせます。まずは安心してください。 ただ、豊かな老後を送りたいなら、別の話。そのためには早いうちから資産形成が必要です。どのように資産形成していくのか、順次解説していきます。 ● まずは60歳までに500万円の投資資産を作る 読者の中には、60歳から初めて投資をするという人もいるかもしれませんが、資産形成は早く始めたほうが時間を味方にできるので有利ですし、まとまった資産があったほうがお金の増えるスピードも増します。 60歳までに預貯金300万~500万円とは別に、500万円の投資資産を作ることを目標にしましょう。 500万円の資産を作るには「投資信託」がおすすめ。新NISAとiDeCoを優先的に活用し、インデックスファンドまたはバランスファンドで積立・分散投資をし、時間を味方につけながら500万円の投資資産を築くことを目指します。 投資は早く始めて長く続けることが大切ですから、月1万円でも2万円でも、無理のない範囲で投資を始めましょう。 60歳までに500万円の投資資産を作ったら、60歳以降はその500万円の運用に加えて、70歳まで別途、積立投資を行うことで、預貯金とは別に計1000万~1500万円の資産を築けるでしょう。