再びトランプ大統領ー 核廃絶への道は?専門家が語る懸念と『ロシアに有利な停戦』の可能性
アメリカ大統領選挙は、トランプ氏が再選を果たしました。今後、世界の核情勢や紛争問題にどんな影響を与えると考えられるのか?専門家に話を聞きました。 「アメリカ第一主義」を訴え、4年ぶりに大統領に返り咲いたトランプ氏。長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)の吉田文彦センター長は、今後の核軍縮について厳しい状況となる可能性を口にしました。 長崎大学核兵器廃絶研究センター 吉田文彦センター長: 「次の核軍縮条約とか、あるいは現存の核軍縮条約の強化がかなり難しくなるのではないかなと懸念されます」 前回のトランプ政権では、アメリカとロシアの中距離核戦力全廃条約(INF条約)が失効。また両国間の核軍縮条約である新STARTの議論も停滞しました。吉田センター長は、核軍縮について「明るい兆しは少ない」と見ています。 長崎大学核兵器廃絶研究センター 吉田文彦センター長: 「2026年には期限切れになる新STARTの後継の条約が誕生する、というのは、時間がないこともありますけれども、望み薄だと思います」「半世紀以上続いた核軍縮条約が、米露間にある時代が一区切りついてしまう」 一方、トランプ氏がロシアのウクライナ侵攻について「戦争を終わらせる」旨の発言をしていることについては、その中身に注目したいと話します。 長崎大学核兵器廃絶研究センター 吉田文彦センター長: 「(トランプ氏は)ウクライナへの支援について非常に消極的ですから、軍事援助をアメリカから止めます。あるいは同盟国にもそれを呼びかけるかもしれません。その上で停戦というのがどういうことかと言うと、ロシアに非常に有利な条件の停戦になる可能性がある」 こうした世界情勢の中、先月、日本被団協へのノーベル平和賞の授与が決定しました。吉田センター長は、日本とアメリカの市民や自治体レベルで、核廃絶に向けた議論を続けることが重要だと訴えます。 長崎大学核兵器廃絶研究センター 吉田文彦センター長: 「ノーベル平和賞の授与の主旨にも書かれていたように”核のタブー”ですよね。核兵器不使用の継続。それは本当にボトムライン(最低ライン)です」
「絶対にそこは譲っちゃいけないし、そこを守らせていくための力はやはり被爆地にある。引き続き被爆地からの発信はとても重要だと思います」 トランプ氏の再選を受け、長崎市の鈴木市長は「核なき世界」の実現に向け強力なリーダーシップを発揮するとともに被爆地訪問を求めるコメントを発表しました。
長崎放送