<鈴村健一>テレビアニメ「鬼滅の刃」柱稽古編 蛇柱・伊黒小芭内の魅力 蛇の呼吸にリアリティーを
「呼吸のような必殺技的なものは、声を張るという方法が一番フィットしやすいと思うんです。ましてや戦闘シーンなので、敵もたくさんいて、音楽も盛り上がってるし、SE(効果音)もすごい。だから、それに負けないくらい声を張るのが必殺技のセオリーではあるのですが、伊黒の場合は、人柄を考えるとそういうふうには演じられない。ちゃんと力点を置きながら、でも声を張らない、という。決めるところは決めつつ、セオリーにはのっとらないせりふを表現しなければいけないので、結構難しくて。技を発する前に言葉を発するのは、ある種の“見得(みえ)を切る”部分もあるのですが、形骸化しないようにすることも大事。声を張らない、見得を切ることにだけに傾倒せず、常に日常につながっているように発声できるかどうかが、伊黒としては大事なんじゃないかなと。ちゃんとリアリティーが必要というか。形骸化しないための落としどころを意識して演じているつもりですね」
◇伊黒の魅力を発見 「意外とちゃんと人のことを信用してるじゃん」
「柱稽古編」では、伊黒がほかの隊士や柱と関わる場面も描かれ、鈴村さんは改めてその魅力を“発見”したと感じているという。
「意外といろいろな人と関わるんだな、いろいろな人とコミュニケーションがとれるんだなということが見えてきたというか。実弥に背中を任せるようなシーンもあって、『信用しない』と言っていた割に『意外とちゃんと人のことを信用してるじゃん』と。恐らく、彼の中で誰を認めている・認めていないという線引きがあって、要は気分では動いていなさそうな気がするんです。きっと柱の面々に対しても、認めた瞬間というのがあって、信頼関係があるんだろうなと。演じる側の僕の目線からすると、そういうシーンが出てきて、ほっとしているというか、うれしいというか。僕らは台本から『役をどうやって広げるか』というものを拾ってくるので、描かれないところがあると、しんどい部分もあるんですよね。今は、ヒントをいっぱいいただけている感じがします。『あ、こういう人なんだ』という発見に近いですね」