銀行員の助言どおり、退職金1,500万円で「新NISA」を始めた60歳投資初心者の後悔…暴落時、絶対にやってはいけないこと【CFPが解説】
「パニック売り」を起こさないために
長期で投資を行う際、何度かは大きな市場のショックを経験することが考えられます。そんなときに慌ててしまわないよう、以下のような方法を押さえておきましょう。 1.事前に決めたルールに従う 投資は損益が全て自分に返ってくる自己責任の世界です。だからこそ、投資を始める前に自分が取ることのできるリスクの許容度や売却の基準を決めておき、それらに沿って投資を行うことも有効です。これにより感情的な判断を避けることができます。 2.情報に基づいた判断を行う 市場の動向をしっかりと把握することができれば、慌てて売却するといったことは少なくなるでしょう。そのため、まずは自分で情報を集め、理解するために投資について学ぶことは重要です。 3.専門家の助言を求める 市場が不安定な時だからこそ、金融機関の担当者やIFAなどのアドバイザーなど専門家の意見を参考にすることも大切です。 いまはネット等で情報を得て1人で投資を行っている方も多いですが、そういった方こそ予期しない相場急落などでパニック売りを起こしてしまう方が多いように思います。 心配になったら相談できる担当がいることは、投資を長く続けるうえで大きな支えとなります。 〈ポイント〉 ・「パニック売り」は、その時点で損益を確定させてしまう行為で、長期的な成長の機会を失ってしまうことにつながる ・新NISAのような一般的な金融商品の売買手法であれば、売却しない限り損失を確定させることはない
退職金運用の心構え
Aさんは、退職後の安定した生活を目指すため、退職金の一部を新NISAで運用することを決めました。 しかし、株価が大きく下落したときに、不安や恐怖に駆られて保有していた投資信託を売却してしまいました。結果論ではありますが、その後株価は値を戻しつつあり、Aさんは本来得られるはずだったリターンを失い、損失を確定させることとなってしまったのです。 退職金のように老後の生活を支える大切な資産に関しては、慎重かつ計画的な運用が求められます。このような資産の評価が一時的に下落をしてしまうと、不安に駆られてしまうのも無理はありません。 ただ、今回の投資を通じてAさんは感じた後悔は、「焦って売ってしまったこと」と話します。 投資は本来、長期的な視点で行うべきであり、一時的な市場の変動に左右されるべきではありませんが、Aさんは短期的な損失に対する不安から冷静な判断を失い、結果として不利なタイミングでの売却という行動を取ってしまいました。 大切な資産の運用だからこそ、計画的で冷静な判断ができるように資産運用を行っていただきたいと思います。 伊藤貴徳 伊藤FPオフィス 代表