国連女性差別撤廃委、日本政府に「慰安婦問題は未解決…被害者の権利保障に努力を」
女性差別撤廃委、夫婦同姓規定の見直しなども勧告
国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)は日本政府に対し、日本軍慰安婦被害者の賠償請求など権利保障の努力を強化し拡大しなければならないと再度指摘した。 委員会は日本政府に向けて「戦争犯罪と反人道的犯罪の公訴時効排除」、「被害者の立場での賠償」が必要だという点を繰り返し強調した。 29日(現地時間)、ホームページに公開した「国連の女性差別撤廃条約に対する日本政府の定期履行報告」で「慰安婦の権利問題解決に関する当事国(日本)の努力を評価する」としつつも「被害・生存者の真実と正義、賠償に対する権利保障のための努力を持続し、拡大する必要がある」と明らかにした。 続けて、日本政府に向けて以前行なった勧告に再度言及し「国連経済社会委員会(ECOSOC)が国際法に基づいて採択した『戦争犯罪と反人道的犯罪には公訴時効がない』という原則を受け入れなければならないという点を繰り返し想起する」と強調した。 委員会は2016年3月、日本政府に対する「定期履行報告書」でも第2次世界大戦時の日本軍慰安婦被害者の救済策が不十分だとし、強く批判した経緯がある。 当時委員会は「われわれの最終見解は、慰安婦問題は(韓日政府間の2015年12月28日合意にもかかわらず)まだ解決されていない問題だということ」だと指摘。また、「(日本政府の)指導者や当局者が責任を軽んじる発言で被害者に改めて心的苦痛を与えている」とし、「慰安婦問題を『最終的かつ不可逆的に解決される』とする合意の発表は被害者中心のアプローチを十分に取らなかった」とも指摘した。「最終的かつ不可逆的解決に合意した」という一年前の2015年の韓日慰安婦合意の不当さを指摘したのだ。 今回も委員会は、前回の勧告から8年がたっても依然として問題が残っているという点を再び強調した。委員会は女性差別撤廃条約に対する主要国家の是正を一定期間ごとに審査して報告書を出すが、拘束力はない。 また、「選択的夫婦別姓」の導入も勧告した。日本では結婚後、主に女性が夫の姓を名乗る「夫婦同姓」を根幹に維持してきているが、性差別だという議論と共に、女性が社会的に受ける被害を改善する要求の声が大きかった。委員会は2003年、2009年、2016年に続き今年も日本政府に夫婦別姓導入を強く勧告した。委員会は前回の審査で「日本で結婚後に配偶者の姓に従う制度は、職場生活だけでなく私生活でも多くの日本女性に悪い影響を及ぼしている」と批判した。一方、日本政府代表団は審査で「夫婦別姓は国民の意見が分かれる事案であり、日本社会全体で家族の存在方式に関する重要な問題であるため、幅広い国民の理解を得る必要がある」として明確な答を避けた。 委員会は、皇室が男系男子に皇位を継がせることを規定した皇室典範についても、「男系男子だけの皇位継承を認めることは、(国連の)条約目的と趣旨に反する」と指摘した。委員会は「この問題について委員会が指摘するのは権限範囲を外れるという当事国(日本)の立場に留意する」としながらも「皇位継承で男女平等を保障するために他国の事例を参考にするよう」勧告した。先の審査で日本政府はこの問題に関して「皇位継承のあり方は国家の基本に関わる事項であり、女性差別撤廃条約の趣旨に照らし(委員会が)取り上げることは適切でない」という立場を明らかにしている。委員会はこの他にも最終見解に、日本政府が同性結婚を認めることなどを含めた。委員会の審査は国際法上拘束力はないが、女性差別撤廃という理念実現のために国際社会で尊重されている。 東京/ホン・ソクジェ特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)