東出昌大が今度はアングラ演劇で新境地 『分かる人だけが分かれば良い』は「大嫌い」
東出が演じるのは、劇の中では登場しないアリスを探し続けるバーニー。道化的な役回りで、長いセリフもある。 「物語を進める役回りですが、進めるとは何か、という展開もあって、一言で言い難いところもあります。一つ一つ意味を理解しながら、細かい言い回しなどは演出の二人と稽古で積み上げています。ひとつ言えるのは、二人の才能は本物ということ。観劇後すぐに感想を言語化出来ずとも、帰り道に『いやぁ凄いもの観た』とつい呟いてしまうものではないかと思っています」 東出は映画を中心に映像作品に出演する一方、舞台には年に1回ペースで出演している。舞台にはどんな意味を感じているのか。 「舞台は映像作品に比べて時間と労力を要します。今回は2か月くらい。ギャランティーは多くはないかもしれませんが、それ以上にやりがいがあります。もちろん、お金は生きるために必要なものですが、これまでも、お金のために何でもやるという仕事の仕方をしてこなかったです。生きていて、よかったと思える時間を積み上げていきたいんです。それには人間関係をしっかり構築して、何でも思ったことを言える信頼関係がないとできない」 本公演には従来の演劇やエンタメから逸脱した表現が取り入れられている。東出はこの「型破り」な表現を通じて、新たな演劇表現の可能性を模索している。 □東出昌大(ひがしで・まさひろ)1988年2月1日、埼玉県生まれ。2012年、映画『桐島、部活やめるってよ』で俳優デビューし、第36回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。以後、数々の作品に出演。主な作品として、第71回カンヌ国際映画祭の『寝ても覚めても』、人気の『コンフィデンスマンJP』シリーズ、第77回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞受賞の『スパイの妻』、『Blue』、『草の響き』、『Winny』、『福田村事件』、『WILL』『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』など。『週刊文春CINEMA!』で「山暮らし日記」を連載中。
平辻哲也