米大手資産運用会社の調査で判明…株主総会での「議決権の行使」が「株価」に与える“無視できない”影響【アライアンス・バーンスタイン】
反対票数0の企業の「平均年間株式リターン」は他社の2倍に
私たちは、2018年から2022年にかけて、グローバル企業全体で、266,000件以上の個別議案に対して議決権行使が行われた約34,000件の株主総会を追跡調査しました。そして、それぞれの議決権行使と、翌年の当該企業の株式リターンとを対比しました。 具体的にはVAM(Votes Against Management)と呼ぶ反対票数に基づき、経営陣との連携度合いを分類しました。たとえばVAMが1の場合は、株主総会で企業側から 出された議案のどれかひとつに反対票が投じられたことを意味します。 調査期間中に開催された株主総会でVAMがゼロであったのは45%でした。つまり半数以上の株主総会で企業側の提案に反対したことを意味します。 VAMがゼロの企業(ABが全ての議案に賛成した企業)は、他の企業よりも年間250ベーシス・ポイント以上高い株価パフォーマンスを示していることが判明しました。こうした傾向は大半のセクターの同規模同業他社間で確認されています。 さらには、5年間のスパンで見た場合、VAMがゼロの企業の平均年間株式リターンは、VAMが3つ以上ある企業群と比べ約2倍の11.5%になっています【図表】。 私たちは、ファンドマネージャーやアナリストによる日頃からの経営陣とのエンゲージメントを通じて、企業価値向上のためによりよい経営が行われるよう、さまざまな働きかけを行っています。株主総会の議案として俎上(そじょう)にあがる前から経営改善を促し、会社のガバナンスが数年にわたり問題になっている場合などは、エンゲージメントの強化や株主提案を検討することもあります。 アクティブ運用の根幹は、エンゲージメントを通じて資本戦略や経営戦略などに能動的に関与していくことで、企業価値を協創し、株価パフォーマンスに資すること。特にガバナンスに関しては、熟慮を重ねた議決権行使だけでなく、エンゲージメントを行うことで、リーダーシップや情報開示、報酬、資本政策に至るまで、重要な経営判断にプラスの影響を与えることが可能だと考えています。 臼井 はるな アライアンス・バーンスタイン株式会社 責任投資ヘッド ※当レポートの閲覧にあたっては【ご注意】をご参照ください。
臼井 はるな