『スカイキャッスル』が問う“受験”のあり方 『ドラゴン桜』『二月の勝者』とどう差別化?
『名前をなくした女神』では“小学校受験”がテーマに
さらに低年齢の受験になると、子どもよりも親の意思が強くなってくる。『名前をなくした女神』(2011年/フジテレビ系)では、杏主演で子どもの小学校受験を控えたママ友たちの複雑な人間模様を描いた。本作に登場する母親の多くは子供を良い学校に行かせようとする理由が自分の見栄やプライドのためであり、子供をそっちのけで互いの足を引っ張り合う。結果、プレッシャーをかけられた子供たちが心を病み、母親が改心するケースが多かった。一方、杏演じる主人公の息子はプレッシャーをかけられていないため、のびのびと楽しんで勉強していたのが印象的だ。いつの受験にしろ、あくまでも主役は子供。子供の気持ちや希望を無視すれば、必ずどこかに歪みが生じる。 『スカイキャッスル』は同作に近いドラマになるのではないだろうか。公式サイトの相関図にはハイスペックな夫を持つ美しき妻たちの肖像が並んでおり、子供たちより遥かに目立っている。そんな彼女たちがどんなドロドロのバトルを繰り広げてくれるのか楽しみだ。また、印象的なのは小雪演じる九条彩香の“受験コーディネーター”という肩書き。本国である韓国にも受験コーディネーター(入試コーディネーター)という職業は存在しないが、メンターと呼ばれるアドバイザーはいて、実際に彼らを雇っている受験生の親もいるという。「志望校に合格させるためには手段を選ばない冷徹さをもつ」と公式サイトで説明されている九条は、どこか『女王の教室』(2005年/日本テレビ系)の主人公・阿久津真矢(天海祐希)を彷彿とさせるビジュアルだ。彼女は生徒たちにとって厳しくも大きく成長させてくれる存在だったが、九条は果たして。彼女がセレブ妻たちにどのような影響を与えるのかも注目していきたい。
苫とり子