夏の参院選、石破政権の命運左右 与党過半数維持が最低ライン 野党は候補一本化がカギ
7月の参院選は石破茂政権の命運を決める。自民党は世論の批判が収まっていない派閥パーティー収入不記載問題に関し昨年中に幕引きできなかった。対する立憲民主党は改選1人区で野党候補の一本化を図るが、見通しは立っていない。 ■与党は50議席以上必要 24日召集の方向となっている通常国会が始まれば、政界は参院選モードに火が付き、各党は選挙準備を本格化させる。 自民、公明の与党が50議席以上を得て参院全体の過半数を維持すれば、政権は延命する公算が大きい。過半数を下回れば衆参両院で少数与党となり、万策尽きる。 前回の令和4年参院選は76議席(うち自民63)、前々回の元年参院選は71議席(同57)の大勝だった。だが、自民の参院幹部は「うちの議員は口をそろえて地元有権者が相当厳しいと言う。何とか過半数に届くくらいではないか」と語る。 野党が不記載問題への批判を勢い付かせれば、昨年10月の衆院選のように雪崩を打って野党に票が流れ、与党50議席に届かない可能性もゼロではない。公明も衆院選で公示前の32から24議席に減らし、退潮傾向にある。 不記載問題は今年も尾を引きそうだ。自民執行部は、参院政治倫理審査会に未出席だった不記載関係議員27人の出席を昨年中に終え、けじめを付けたかったが、大半が非公開を希望し、野党が反発したため、18人が未出席のまま越年した。 ■改選1人区、野党の調整難航か 32の改選1人区が参院選のかぎを握る。前回は28勝4敗の大勝だったが、1人区が29だった平成19年参院選は6勝23敗で参院で過半数を割り、2カ月後に当時の安倍晋三首相が退陣した。 野党が参院選で勝利するには改選1人区での候補者一本化が重要になる。ただ、政策を実現するために野党が与党と交渉する政治文化が根付きつつある中、調整はこれまで以上に難航するとみられる。 立民の野田佳彦代表は12月27日、夏の参院選に関する基本的な考え方について「32の改選1人区でどれだけ勝てるのかが劇的な変化につながる。よく数字なども含めて選挙区の構造などもよく分析し、対応を決めていきたい」と述べた。 具体的な勝敗ラインなどには触れなかったが、立民は参院選を政権交代に向けた「ステップ」と位置付け、衆院と同じく与党過半数割れに追い込みたい考えだ。通常国会では政治改革や選択的夫婦別姓制度の導入を通じて野党の結束を促し「少数与党を追い詰めていく」(野田氏)。その延長線上に改選1人区の候補者調整を描く。