子どもの肥満が増加 世界で高まるリスクと対策は?
私たちには何ができるのか?
また、遺伝的疾患および投薬が、一部の人々において病的な体重を引き起こす、もしくはその傾向を強めることがあります。心理的要因も体重に影響を与えることがあり、また社会的な疎外も重要な役割を果たします。 ■健康への影響 子どもの肥満は、数多くの身体的および精神的な健康問題を引き起こし、長期的な影響を及ぼす可能性があります。 その中には、糖尿病のような代謝障害、高血圧やコレステロールのような心血管障害、喘息のような呼吸器障害などがあります。余分な体重が関節や筋肉の骨格の問題を引き起こし、運動能力や身体活動能力に影響を与える可能性もあります。 また、肥満により子宮体がん、乳がん、結腸がんなどの特定のがんのリスクが増大。スウェーデンの科学者による研究では、小児肥満は若年性多発性硬化症のリスクを高める可能性があることも示唆されています。 世界保健機関(WHO)は、過体重や肥満が原因で毎年少なくとも260万人が死亡していると推定。深刻な肥満が持続する子どもは平均余命が半減する可能性があるという研究結果もあります。 また、体重には大きな偏見が伴い、肥満の人は生活習慣や頭の良し悪し、衛生状態などに関する否定的なコメントを受けることがあるのが現状です。 このような偏見に対する恐れから、治療や予防のための支援を求めることをためらう人もいるかもしれません。また、肥満は過食や自発的な食事制限、摂食不安などの摂食障害とも関連しています。 肥満に対する偏見や恐れはストレスやうつ病につながり、人々を社会的に孤立させかねません。登校できなくなったり、求職や継続勤務が難しくなることもあります。 ■私たちができること 子どもの肥満の原因は複雑であるため、単に食事量を減らし、運動量を増やすよう促すだけの取り組みは十分ではありません。家族、学校、地域社会、政策立案者が協力して、多面的な対応策を講じる必要があるのです。 まずは、幼少期からの健康的なライフスタイルを選択できるようにすることが重要であり、その一環として教育と情報へのアクセスを改善することが挙げられます。学校や地域社会のプログラム、公衆衛生キャンペーンなどが有効でしょう。 世界経済フォーラムの「栄養のニューフロンティア」イニシアチブは、心身のウェルビーイング(幸福)における栄養の役割を強調することを目的としています。多くの人々がより健康的な生活を望んでいるものの、相反する情報や栄養価の高い食品へのアクセスの欠如がそれを妨げているからです。 有害な食品マーケティングの規制も、政策立案者が取り組もうとしている重要な分野です。その中には、子どもに対する食品や飲料のマーケティングの制限、甘味飲料への課税、パッケージへの明確な栄養情報の記載義務、分量制限などが含まれます。 研究によると、テキストメッセージング・プログラムやデジタル治療などのデジタルヘルス介入も、子どもや若年層の体重管理をサポートし、健康的な行動を促進する上で有効であることが示されています。 (この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
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