甲子園球場でフリー打撃を行う大山（撮影・北條　貴史）

　阪神・岡田彰布監督（66）は20日に甲子園球場で全体練習を指揮し、きょう21日のDeNA戦（甲子園）で再開するリーグ戦を前に球宴までの前半戦中に「自分の姿を取り戻せ」と野手陣に大号令をかけた。不振による2軍調整を経て合流した大山悠輔内野手（29）は昇格即4番が有力。首位・広島と2・5ゲーム差の2位から打線を立て直し、首位から最下位まで6・5差の混戦を抜け出す青写真を描いた。 　まだ他球団を気にする時期ではない。7月23、24日の球宴まで26試合。前半戦中に野手陣は目覚めよ――とばかりに、岡田監督は訴えた。 　「まず、そこまでやなあ。オールスターまでにどれぐらい自分の姿を取り戻せるかやろな。みんながな」 　交流戦を終えて貯金2で、首位広島と2・5差の2位につける。打線低迷の中、むしろ健闘の順位と言っていい。チーム打率・220と同長打率・298はリーグ最低。同出塁率・296も4位でパッとしない。浮上の鍵を「普通にできるかどうかやん。それができてなかったから、個人もこんな数字でいるわけやから」と分析した。 　自分の姿を取り戻してほしいと願う代表的な存在が大山だ。打率・199、3本塁打、19打点の不振で5日に登録を外れた。甲子園での練習に参加し、15日ぶりに1軍の空気を味わった。きょう21日のDeNA戦では4番での復帰が有力。「前を向いてしっかり頑張ります」と短く決意を示した。 　フリー打撃を見届けた岡田監督は「前より良かったよ」と控えめな言葉で期待を表現した。2軍4試合で12打数2安打の成績ではなく、少し絞れたように見えた体に復調の兆しを感じ取っていた。 　攻撃陣の立て直しが急務なのは明白でも、猛打で打ち勝つイメージは持っていない。「今まではもっと粘って塁に出ようという姿があったのが、今はないとか。そういう姿やんか」。ボール球を見極め、簡単にアウトにならない。走者は次の塁を奪う。求めるのは、そんな堅実な野球だ。 　「去年もめちゃくちゃチーム打率が良くて勝ったわけじゃないやんか。四球にせよ、走者を進めるとか、次の塁に当たり前のように行くとか、そういうことをできているからいい結果が出るわけであって。そこまで打てるチームじゃないやん。つながりとかで点を取ってたわけやからな。それができなかったら、点は入らんわな」 　首位から最下位まで6・5差。「今年は混戦やって、キャンプで言うてた通りやんか。簡単に突き抜けるかいな。そんなに勝負は甘いもんちゃうよ」。再出発を前に、もう一度、原点に立ち返った。（倉世古　洋平） 　《監督通算700勝まであと「2」も無関心》岡田監督は残り2勝まできた監督通算700勝について「あと2なん？700まで。まあ別に、そんなんはええわ」と無関心を装った。選手あっての記録として、これまでも監督勝利数への言及は控えてきた。オリックスを除いた阪神監督としても藤本定義の球団最多514勝まであと4勝に迫る。 　【今季の大山の歩み】 　☆開幕4番　3月29日の巨人戦で2年連続4度目の開幕4番。3三振を含む4打席凡退。 　☆5番降格　4月14日の中日戦で「5番・一塁」。22年9月6日のヤクルト戦から続いていた先発4番は173試合で止まった。 　☆最遅1号（1）　同19日の中日戦で1号。開幕から75打席目はプロ8年目で最も遅かった。 　☆FA資格　同20日に国内FA権の取得日数に到達。2試合連続猛打賞で花を添えた。 　☆2発（2）　「長嶋茂雄DAY」として開催された5月3日の巨人戦で2年ぶり10度目の1試合2本塁打。 　☆先発落ち（3）　同16日の中日戦で先発落ち。連続先発は212試合で止まった。翌17日に先発復帰。 　☆通算500打点（4）　同22日の広島戦で通算500打点に到達。入団8年目は田淵幸一、掛布雅之、岡田彰布と並んで最速。 　☆7番降格　6月1日のロッテ戦で22年5月8日の中日戦以来の7番。 　☆打率最下位　同2日のロッテ戦は6番で3打席凡退。打率.199でセ・リーグの規定打席到達者で最下位に転落。 　☆欠場（5）　同4日の楽天戦で今季2度目の先発落ち。途中出場もなく連続出場は227試合で止まった。試合後に岡田監督が2軍での再調整を明言。 　☆登録外　同5日に2軍降格。不振理由では18年6月以来。11日から実戦調整を解禁し、4試合で打率.167（12打数2安打）。