スティッチフィックス は「沈みかけた船」? :フルタイムのスタイリング職を廃止
パーソナルスタイリングサービスを提供するスティッチフィックス(Stitch Fix)は、コスト削減活動の一環としてフルタイムのスタイリストを廃止し、代わりにパートタイムのスタイリストチームで構成することを選んだ。 スティッチフィックスは2024年1月11日に、この変更をメールでスタイリストたちに通知した。スタイリストたちは現在選択を迫られている。フルタイムとパートタイムの従業員はともに、同社で働き続けるなら3つの「階層」のいずれかを選択する必要がある。従業員は週に28時間、週12時間、または週に10時間から20時間の範囲で顧客の活動レベルに応じてフレキシブルに働くかを選ぶことができる。またこの変更により、約10人のスタイリングリーダー職も廃止された。
パートタイムモデルへの移行
スティッチフィックスにとってスタイリングサービスはビジネスの中核だが、これらの変更は同社が今後のスタイリストの役割と重要性を探るなか、この数年間でスタイリングビジネスに加えた経費削減のなかで最新のものにすぎない。2023年度にスティッチフィックスの収益は前年比で21%減少し、アクティブ顧客数は13%減少した。一方で、アラカルトのショッピングサービスであるフリースタイル(Freestyle)は計画したようには上手くいかなかった。同社は2023年6月に新しいCEOとして、メイシーズ(Macy’s)の元最高デジタル責任者のマット・ベアー氏を任命し、同氏はこれまでに英国でのビジネスの中止とフルフィルメント運用の縮小によってコスト削減を模索してきた。 スティッチフィックスの広報担当者は、「引き続きビジネスを進化させ、もっとも革新的で、パーソナライズされた、便利なオンラインスタイリングエクスペリエンスの提供を保証するため、スタイリストをパートタイムのみのモデルに移行することを含む変更を2024年1月第2週に社内の組織全体に通達した」と、メールで米モダンリテールに語った。広報担当者は、スタイリストの大半はパートタイムであり、完全にパートタイムモデルに移行することで柔軟性を維持できるとともに、「顧客と当社のビジネスニーズを効果的に満たすことができる」と注釈している。 これらの変更は2024年3月31日付けで発効し、結果としてフルタイム従業員は健康保険などいくつかの福利厚生を利用できなくなる。パートタイムの職に就かないことを選択したフルタイム従業員には退職金が支払われる。 スティッチフィックスのスタイリスト向けに作られたサブレディット(subreddit)では、メンバーがこれらの変更を批判した。一部のメンバーは、退職すべきかパートタイムに甘んじるべきか、そしてスティッチフィックスから得られなくなる福利厚生についてどうすべきかを迷っていると語っている。サブレディットのあるメンバーは次のように記す。「本当に参ってしまって、パートナーと十分に話し合おうとしている。自分と子どもたちのために福利厚生が必要だが、勤務が30時間未満になるとこれらの福利厚生に加えて、家族を養うための重要な収入の多くも失われることになる」。